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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第二十三章

「首領の力が何処までかはわからない。しかしそれは今まで見せたものの中ではほんの一部に過ぎない筈だ」
「幾多のライダー達との戦いで見せたどの力もか」
「何て奴なんだ」
 田所と加賀美はそれを聞いて唖然とさえした。
「まるで神だな」
「そうだ、神だ」
 天道はその言葉に頷いてみせた。中心で腕を組んだまま言葉を続ける。
「スサノオ。確かに神だ」
 だが。その神とは。
「荒ぶる神。決して人の味方ではない」
「むしろ敵だよね」
 虎太郎が言ってきた。彼は剣崎達の側に立っていた。
「実はさ、僕もそれを聞いていたけれど本には書かなかったんだ」
「それは正解だな」
 天道はそう彼に返した。
「それを書けば仮面ライダーどころではなくなった。都市伝説ではな」
「うん、だからね」
「いい判断だった。もっとも書いたところで信じてもらえなかっただろうがな」
 天道はこうも告げてきた。
「それだけ不可思議な存在でもある」
「それが首領」
「その首領の分身の一つとの戦いだ」
 その言葉が鋭くなる。
「これからの戦いはな」
「キュリオス」
「それで天道」
 神代が天道に問うてきた。
「どうするのだ?それで」
「渋谷に向かう」
 彼は言い切った。
「再びな。ゼクトとボードの戦力全てでだ」
「用意はできているぞ」
 田所が彼に告げてきた。
「何時でもな」
「では話が早い。それではすぐにも」
「行くのか」
「明日だ」
 天道は皆に告げた。
「わかったな、明日だ」
「よし、では行くぞ」
 田所がそれを受けて全員に言った。
「明日総攻撃だ。身の周りのことは済ませておけよ」
「了解」
「じゃあ明日また」
「全員」
 ライダー達は一旦別れた。しかしそれは次の戦いの前の一時の別れに過ぎなかった。ワーム、そしてネイティブとの最後の戦いはいよいよはじまろうとしていたのだ。
 ボードの面々は一旦本部に戻りゼクトのライダー達も同じだった。風間や矢車、影山も去り加賀美と天道はひよりと共に天道の家に向かった。神代だけが残っていた。
 彼はすぐに爺やを後ろに岬のところにやって来た。
「ミサキーヌ、話は聞いている」
 まだサルに残っていたミサキに声をかけてきた。その顔は笑顔だった。
「爺やと共にディスカビル家を建て直してくれているそうだな」
「ええ」
 岬は神代のその言葉に頷いてきた。
「何とか上手くいっているわ」
「そうか、済まない」
 それを聞いて満面に笑みを浮かべる。
「ミサキーヌ、俺の為に」
「岬様は坊ちゃまの為に働いてこられてきました」
 爺やがその後ろで説明をする。
「そうか、俺の為に」
「まさかこうして帰って来るとは思わなかったけれど」
 遺志を受け継ぐつもりだったのだ。しかし彼は帰って来たのだ。
「俺もだ」
 彼もそうだった。まさかこうして今ここにいるとは思わなかった。まさに奇跡であった。
「だがこれは事実だ。ならば」
 そのうえで言う。
「俺は君のその誠意に応えよう」
「応えるって?」
「戦うまでだ」
 それが彼の答えであった。迷いのない毅然とした言葉であった。
「ワームと、そしてこれからも」
「これからも」
「ワームとの戦いが終わってもだ。首領は何度でも来るのだったな」
「はい」
 爺やが神代のその言葉に頷く。
「そうでございます。ですから坊ちゃまは戻って来られたのです」
「その通りだ。その俺の背中を任せられるのは我が友カッガーミ」
 その加賀美は今はいないがそれでも言う。彼への信頼は蘇った今も変わりはしない。
 
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