八条学園騒動記
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第七百八話 連合の狼その四
「その他の仕事にもな」
「犬の仕事は多いですが」
「色々働かせている」
「そうなんですね」
「それがだ」
まさにというのだ。
「連合のやり方の一つだ」
「狼を家畜にする」
「だがそれは考えてみると当然のことだ」
狼を家畜まさに犬の様に用いることはというのだ。
「何しろ狼はな」
「犬になったので」
「当然だ」
「そうですね」
「しかしだ」
それでもとだ、ここで大尉は強い声で言った。
「エウロパでは絶対にだ」
「狼を家畜にしませんね」
「狼は狼だ」
大尉は表情も強くさせて言い切った。
「それ以外の何でもない」
「まさに」
「そうだ、犬は犬でな」
「狼を牧羊に用いないですね」
「牧場の番にはな」
「むしろ牧場を狙っていると」
そこにいる家畜達をだ。
「警戒してです」
「忌み嫌っているな」
「はい」
上等兵もそうだと答えた。
「そうしています」
「そうだな、動物園でもだ」
「狼は猛獣です」
「ライオンや虎よりもな」
こうした生きものも自然の中には多くいる、星によるが。
「狼はな」
「警戒され嫌われていますね」
「文化的にな、妖怪でもな」
大尉はこちらの話もした。
「先程日本そして連合のそれの話をしたが」
「狼の妖怪は少ないと」
「しかしエウロパではな」
「多いですね」
「狼人間なぞだ」
この妖怪はというのだ。
「もうだ」
「どの国にもお話がありますね」
「我が国でもな」
「プロイセンでも」
「そうした話は多い」
実にというのだ。
「吸血鬼と狼人間の話はな」
「多いですね」
「特に東欧各国でな」
こう区分される国々ではというのだ、地球にあった頃の地域区分がそのまま残っていることは連合と同じなのだ。
「実にな」
「多いですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「東欧の文化ではな」
「吸血鬼の話が多く」
「狼人間は吸血鬼の兄弟の様なものだ」
「眷属とされていますね」
「そうした間柄だからな」
それでというのだ。
「その様にだ」
「なっていますね」
「勿論連合でも狼人間の話はあってな」
そうしてというのだ。
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