仮面ライダーカブト 明日のその先へ
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第十五章
「俺にはわかる。ネイティブは必ずひよりを狙ってくる」
「何故そう言えるんだ!?」
「それはひよりがネイティブだからだ」
天道はそう言った。
「すぐに行かなくては。ここは任せる」
「おい、天道」
クロックアップを使って姿を消した天道。加賀美は何も言えなかった。しかし彼もおたおたとしているつもりはなかった。すぐに彼を追うことにしたのだった。
「田所さん」
「わかっている」
田所は加賀美の言葉に頷いてきた。
「すぐに行け。ここの戦いはもう終わった」
「はい、すいません」
「何かよくわからないが訳ありみたいだな」
剣崎も彼に声をかけてきた。
「今はとりあえず終わったんだ。行けばいい」
「ああ。剣崎一真だったよな」
加賀美は剣崎に顔を向けて問う。
「あんた、いい奴だな」
「そうか?俺は別にそんなつもりはないんだけれどな」
「いや、そうさ。けれどここは甘えさせてもらいたいんだが」
「わかってるさ。それじゃあな」
「ああ」
剣崎にも声をかけられその場を後にする。バイクに乗り込みすぐに渋谷を後にしたのだった。そのまま天道の後を追う。
日下部ひよりはサルにいた。そこで開店前の準備をしていた。店の前に看板を出して本日のお勧めメニューをチョークで書いていた。
「おやおや」
それを見て誰かが声をあげてきた。
「今日はマカロニですか。それはまた」
「マカロニ好きなのか?」
「ええ」
見れば太った男が店の前にいた。そして今ひよりが書いている黒板を見て少し大袈裟に笑っていたのである。着ている赤ジャケットがやけに目立つ。
「大好きですとも」
「それならもうすぐ待ってくれ」
ひよりはそう彼に告げる。
「もうすぐ開店だからな」
「そうさせて欲しいのですが」
ここで彼はまた言ってきた。
「実はですね。一つ用件がありまして」
「用件!?」
「はい、貴女に」
にこやかに笑って答える。慇懃な態度であるが何処か含んだものがある様子だった。それに笑ってはいるが目は笑ってはいない。何やら怪しいことこの上ない雰囲気の男であった。
それはひよりも感じていた。怪訝な顔で彼を見る。彼が一歩前に出た時だった。天道が彼の前に姿を現わしたのであった。
「ひより、すぐに店の中に入れ」
「天道」
「おや、これはこれは」
男は天道の姿を見てまた笑みを浮かべてきた。やはり目は笑ってはいない。
「天道総司さんではありませんか。お元気そうで何よりです」
「御前もまた蘇っていたか」
天道は彼を睨み据えて言う。
「ワームが蘇りそして御前達も蘇る。全ては王の為か」
「その通りです」
彼はそう天道に対して答える。
「流石ですね、もうそこまで読んでいるとは」
「根岸」
天道は彼の名前を呼んできた。
「今度は何を企んでいる」
「今度とは?」
「かつて御前は人類を全員ネイティブに変えようとした」
ゼクト本部での戦いであった。その時彼はネックレスを使って全人類をネイティブに変えようとした。天道はそれを加賀美と共同して防いだ。その時彼も死んだ筈だがこうして蘇ってきているのである。
「今度は何を企んでいる」
「王は寂しがられているのです」
根岸は恭しい様子でそう述べてきた。
「ですから。女王もまた必要なのです」
「戯言を」
天道はその言葉を即座に否定した。
「王は常に一人。孤独であるべき存在だ」
天道は言う。
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