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ハッピークローバー

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第八十六話 海遊館に二人でその七

「今の時点ではだよ」
「一番大きなお魚ね」
「そうなるよ」
「今の時点ね」
「これからはわからないよ」 
 さらに大型の魚が発見されるかも知れないというのだ。
「けれど今の時点ではそれでね」
「ここにもいるのね」
「ずっとここの名物だからね」
 海遊館のというのだ。
「注目されてるよ」
「そうよね」
「ジンベエザメがいない海遊館って」
 それはというと。
「あれかな、薄揚げのないきつねうどん」
「それ何かってなるわね」
「少佐さんの出ない某黄色い軍服の王様の漫画とか」
「そういえばあの漫画少佐さん出なくなったわね」
「恋人さんもね」
「二人共ね」
「そうしたら寂しくなったからね」 
 作品自体がというのだ。
「これが」
「そうよね」
「ああなるよ」
「ジンベエザメがいないと」
「海遊館もね」
「それは痛いわね」
「エイもいて他の生きものもいて」
 そうしてというのだ。
「凄くいい水族館だけれど」
「何と言ってもね」
「ジンベエザメだね」
「そうなるわね」
「うん、それにね」
「それに?」
「設備がね」
 水族館のこれがというのだ。
「兎に角ね」
「凄いわね」
「アクアゲートも他のコーナーも」
「凄いわよね」
「ここに来たら」
 それこそというのだ。
「海の中にいるみたいな」
「そんな気になれるわね」
「大阪にこうした場所があって嬉しいよ」
 伊東は笑顔でこうも言った。
「本当にね」
「私もそう思うわ、だからね」
「ここ好きなんだね」
「大好きよ、動物園もね」
「天王寺のだね」
「あそこもいいのよね」
「実は世界的にね」
 伊東はこの動物園の話もした。
「凄くね」
「いい動物園なのよね」
「そうなんだよね」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「昔あそこにパンダがいないって」
 この生きものがというのだ。
「不満だった人がいたみたいよ」
「ああ、昔は東京にしかいなかったから」
「そう、上野のね」
 この動物園にのみというのだ。
「それがね」
「不満だった人いたんだ」
「そんな人いたみたいよ」
「パンダは仕方ないよ」 
 この生きものはとだ、伊東は言った。 
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