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X ーthe another storyー

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第二十六話 決断その二

「いいだろ」
「希望を持つことは誰も止めるものではありません」 
 牙暁はこう草薙に答えた。
「決して」
「そうだよな」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「持っていて下さい」
「そうさせてもらうな」
「では彼女は」
「俺は生きていて欲しいってな」
 その様にというのだ。
「希望を持たせてもらうな」
「それでは」
「ああ、それでな」
 さらに言うのだった。
「俺も時が来ればな」
「その時はですね」
「来させてもらうな」
「都庁まで、ですね」
「地の龍だからな」
 だからだというのだ。
「そうさせてもらうな」
「お待ちしています」
「そうしてくれよ、しかしな」
「しかし?」
「少し先になるかもな」
「といいますと」
「希望を持つって言ったろ」
 顔を上げて牙暁に顔を向けて言った。
「だからな」
「その時はですか」
「何とか止めたいな、別にその娘が生きても戦いに影響ないだろ」
「実は」
「それで必要な犠牲とは思えないしな」
 だからだというのだ。
「俺はな」
「助けますか」
「そうしたい、いいか」
「貴方がそうされたいなら」
「それじゃあな」
「このこと庚に話してもいいですね」
「ああ、いいさ」
 こう牙暁に返した。
「それじゃあな」
「はい、それでは」
 こうした話をしてだった。
 牙暁は草薙との夢の中での話を終えた、そのうえで。
 庚に話すと庚はこう言った。
「出来ることは全部やることね」
「それでなんだ」
「だからね、彼が動くなら」
「他の地の龍の人達にも」
「声をかけるわ、それで動きたい人にはね」
「動いてもらうんだ」
「そしてね」 
 そのうえでというのだ。
「彼女をね」
「殺させないんだね」
「そうしましょう、どうも私もね」
 庚は真面目な顔で話した。
「無駄な殺生はね」
「避けたいんだね」
「そう、人間を滅ぼすと言っても」
「本来の目的はね」
「もう一人の姉さんのことだから」
 それ故にというのだ。
「命を奪うことはしないわ」
「それであるべきだよ」
 牙暁は庚のその考えをよしとした。
「本当にね」
「そうよね」
「例え人間を滅ぼすにしても」
「それは使命であって」
「楽しむものではないわ」
 決してというのだ。
「だからね」
「そうだね、決してね」
「人を無駄に殺しはしないわ」
「だから彼女も」
「殺させはしないわ」
 もう一人の神威、地の龍となった彼にというのだ。 
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