仮面ライダーカブト 明日のその先へ
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第七章
「覚悟はしてくれていると思うが」
「勿論です」
だからといってそれから逃げたりはしない。剣崎はそういう男ではない。
「最後には勝ちます、何があっても」
「そうか。それではいいな」
「はい」
橘も頷く。二人は会議室に向かった。そこにはもう二人の男と一人の女が立っていた。志村純一と禍木慎、三輪夏美の三人であった。それぞれ仮面ライダーグレイブ、仮面ライダーランス、仮面ライダーラルクになる。ゼクトとの共同研究で開発された新しいボードのライダーでありワームとの戦いの熾烈化に伴い警察官だった志村、ウェイターだった禍木、OLであった三輪をそれぞれ烏丸がスカウトしてライダーになってもらった。ケルベロスを応用した技術を使っており、それと同時に擬似カードも使う。グレイブは剣の、ランスはレンゲルの、ラルクはギャレンのデータを参考にしている。カードは擬似カードを使っている。
「渋谷に行ったそうだな」
「はい」
三人の中の中心人物である志村が橘に答えた。
「戦闘になったか」
「洒落になっていませんでしたよ」
禍木はたまりかねたように述べてきた。
「ワームがあちらこちらにいて」
「大分やっつけましたけれどね。帰るのは命からがらでした」
最後に三輪が言う。彼等の顔にはやっと生きて帰ってきたという安堵感と虎口を脱して冷や汗をかいているという二つのものが見られた。
「そうか、大変なんてものじゃなかったんだな」
剣崎は三人の言葉を聞いて言ってきた。
「まずはよく無事でいてくれたな」
「ええ、何とか」
志村が答える。
「それにわかったことがあります」
「ワームがかなりいるということか」
「まだ蛹ばっかりでしたけれどね」
三輪がこう付け加えてきた。
「それでも随分と」
「あの最後のワームの攻勢と同じだけはいましたよ」
「わかった。じゃあまずは座ろうか」
橘はキリとのいいところで彼等を座らせた。それから本格的に会議に入ることになったのであった。
「前に話したがバトルファイトのことだ」
「剣崎さんと相川さんのことですよね」
志村が橘の言葉に目を向けてきた。その目を少ししばたかせている。
「その。ジョーカーから人間になった」
「ああ」
剣崎が答える。
「そうだ。あの時の戦いでだ」
「剣崎は統制者を倒した」
橘も説明する。
「その時統制者は俺達に言った。自分は昔からいる存在で」
「グロンギやオルフェノクもまた自分の手によるものだってな」
「えっ、じゃあそれって」
禍木は二人の言葉を聞いて声をあげる。
「その統制者が今度はワームを」
「あの隕石は」
「おそらくそうだ」
会議室に二人やって来た。一人は相川始、もう一人は上城睦月だった。彼等も烏丸から連絡を受けてやって来たのだ。こうしてボードに関係する全てのライダーが集った。
「統制者、いやスサノオという」
「スサノオ」
「神話の神様ですよね」
三輪はそれは知っていた。
「確かヤマタノオロチを倒したっていう」
「オロチも何処かで戦っていた奴等がいたらしいがな」
相川はそれにも答える。鬼のことも噂で聞いてはいた。
「だがそのスサノオは神話のスサノオとはまた違う」
「じゃあ何なんですか?」
志村は席に座る相川に問うた。上城はその横に座る。
「そのスサノオは」
「悪意の塊とでも言おうか」
相川は少し俯いてそう述べた。
「ジョーカーだった俺を創り出してバトルファイトで生物を縛った」
「一体何の為に」
「世界を永遠に戦いに置く為だったのだろうな」
橘は腕を組んで思案の色を見せながら禍木の問いに答える。
「そしてあわよくば世界を滅ぼす」
「じゃあジョーカーを創ったのは」
「そうだ」
相川は三輪に答えた。
「その通りだ。オルフェノクという存在もそこに王として自らの分身を送り込んだのもだ」
「スサノオの思惑だったんだ」
上城がここではじめて口を開いた。
「何もかもが」
「それでも倒したんじゃないんですか!?」
三輪は必死な感じで剣崎に顔を向けて尋ねた。何故かスサノオの存在を必死で否定したかったのだ。それが何故かは彼女は意識下ではわかっていなかった。無意識から来る恐怖によってであったのだ。
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