ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十六話 海遊館に二人でその三
「聞いていたらね」
「どうにもならないわね」
「しかもごく少数だよ」
クレーマーはというのだ。
「あれこれ言う人達って」
「絶対にそうよね」
留奈もそれはと答えた。
「本当に世の中皆不平不満だからでね」
「文句ばかり言ってたらね」
「全く動かないわ」
「実際そういう人達って不平不満ばかりで」
そして悪いことを言ってというのだ。
「自分で動くことはね」
「ないわね」
「だから世の中の役に立たなくて」
そしてというのだ。
「そのうえで好かれるか」
「周りから」
「それはどうか」
「そんな筈ないわね」
留奈はきっぱりと言い切った。
「文句しか言わない人なんて」
「皆嫌うよ」
「そうよね」
「そうなるよ、それで悪いことばかり考えて言ったら」
伊東は巨大な水槽の中で泳ぐ海の魚達を観つつ話した、この水族館の名物の一つである水槽の前に来てだ。
「どっちも毒だしね」
「ああ、お身体にもね」
「影響出てね」
「体調崩すわね」
「実は今言ったクレーマーさんはね」
スーパーのそれはというのだ。
「何でもこの前倒れたそうだよ」
「そうなの」
「脳梗塞になって」
そしてというのだ。
「今入院しているらしいよ」
「そうなのね」
「それでね」
そうなってというのだ。
「誰からもね」
「自業自得かしら」
「そう言われて」
そしてというのだ。
「誰も。身内の人達もね」
「お見舞いに来ないのね」
「そんな風らしいよ」
「そうなのね」
「クレーマーなんてそうだよ、そんな人達の言うことは無視して」
伊東は断言した。
「水族館も動物園もね」
「あるべきよね」
「言い掛かりかも知れないしね」
「言い掛かりね」
「これは何とでも言えるから」
言い掛かりはというのだ。
「言おうと思えばね」
「何でもなのね」
「そうだからね」
それでというのだ。
「聞いていたらきりないし」
「碌なことにならないわね」
「除夜の鐘が五月蠅いって一人が言って」
「それが通るとかね」
「大晦日の一日で」
その日だけのことでというのだ。
「そもそも煩悩をね」
「祓うのよね、あの鐘って」
「それが五月蠅いって」
「何その人よね」
「何でか本当に学校の先生に言う人多いけれど」
それが元でもだ。
ページ上へ戻る