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イベリス

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第百七話 秋がはじまりその五

「もうね」
「大変なことになりますね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「決してよ、それで逆にね」
「いい人達はですね」
「いい人達で集まるのよ」
「そうなるんですね」
「そうした集まりにはね」
「入るといいですね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうした人達のお話もね」
「聞くことですね」
「悪い人達のお話なんて」
 それはというのだ。
「聞いたら碌なことはないわよ」
「悪影響受けますね」
「そうなるわ」
 絶対にという言葉だった。
「だからね」
「聞かない様にして」
「いい人達のお話をね」
 こちらをというのだ。
「咲っちもね」
「聞くことですね」
「そうよ、いいわね」
「そうします」
 咲もそれはと答えた。
「これからも」
「そうしてね、あとね」
「あと?」
「うちの店長さん今日いないから」
「そうなんですか」
「ええ、山形の方にね」 
 そちらにというのだ。
「行かれたのよ」
「そうですか」
「今回はすぐに帰られるそうよ」
「店長さん何かとですよね」
 咲は首を少し傾げさせて言った。
「お仕事行かれますね」
「外にね」
「東京都内でも」
「結構あるわよ」
「そうですよね」
「お忙しい方でね」
 それでというのだ。
「都内でもしょっちゅうね」
「何か午前だけとか午後だけとかいう時もありますね」
「どうも東京とか関東あと新幹線ですぐに行ける場所だと」
 それならというのだ。
「すぐに行かれて日帰りでなんてこともね」
「ありますよね」
「店長さんの占いは凄い評判だから」
「当たるって」
「わざわざ地方から凄いお金払って」 
「占ってもらう人もいるんですか」
「それと道玄坂の方のアクセサリーショップの」
 先輩はそちらの店の話もした。
「魔術師っていう凄い美人さんの店長さんもね」
「何か評判ですね」
 咲はその店と店長の話を聞いて言った。
「黒づくめのスーツの女の人で」
「奇麗でね」
「あの人も時々おられなくなるんですね」
「そうみたいよ、女の人でも魔女じゃなくて」
「魔術師、魔法使いですね」
「どうも女の人でも魔法使いになれるらしいのよ」
 先輩は咲に真面目な顔で話した。 
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