ハッピークローバー
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第八十五話 兄に言われてその十
「あのお店から見て右に行って左手に曲がって」
「そう、あそこにね」
「重亭さんよね」
留奈はそのお店の名前を言った。
「あそこね」
「そう、あそこだけれど」
「いいわね」
重亭と聞いてだ、留奈は笑顔で答えた。
「じゃあお金持って行くわね」
「あそこハンバーグも有名だけれど」
「オムライスも有名なのよね」
「オムライスいいよね」
伊東は笑顔で言った。
「僕大好きなんだ」
「そうなのね」
「留奈ちゃんがいいって言ってくれるなら」
それならというのだ。
「僕もね」
「いいのね」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
形態の向こうでも笑顔になっていることがわかる返事だった。
「僕もね」
「だって私オムライス好きだし」
留奈も笑顔のまま応えた。
「だからね」
「いいんだ」
「他の国の子からも人気あるでしょ」
「美味しいってね」
「実は最初どの国のお料理か知らなかったけれど」
「日本のお料理だよ」
伊東はすぐに答えた。
「オムライスは」
「そうなのよね」
「しかも大阪でね」
自分達が住んでいるこの街でというのだ。
「出て来たんだ」
「そうらしいわね」
「だから大阪名物ともね」
そうとも、というのだ。
「言えるよ」
「そうなのね」
「じゃあね」
「ええ、オミライスもね」
「重亭で食べよう」
「それじゃあね」
「いや、二人でお店に入って食べるって」
伊東は笑ってこうも言った。
「大人みたいだね」
「そうね、ああしたお店に入るってね」
留奈も笑って応えた。
「大人よね」
「そうだよね」
「もっとも私達お酒飲んで色々行ってるし」
留奈はこうも言った。
「結構ね」
「大人がする様なことしてるね」
「そうだけれどね」
「けれどああしたね」
「有名なお店に一緒に入って食べるって」
「それってね」
伊東はさらに言った。
「もうね」
「大人よね」
「あそこ昔からあって」
重亭という店はというのだ。
「自由軒とかと一緒にね」
「あそこの名物店よね」
「自由軒もいいけれど」
「あそこのカレーもね」
「留奈ちゃんあそこにも行ったことあるんだ」
「お父さんお母さんに連れて行ってもらったの」
両親にというのだ。
「お兄ちゃんと一緒にね」
「そうなんだ」
「それでね」
「あそこのカレー食べたことあるんだ」
「何度かね、ただ重亭はね」
この店はというのだ。
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