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イベリス

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第百六話 夏休みが終わってその十

「そうした人達のファッションよ」
「それが刺青なのね」
「本当にあんなのって感じよ」
「入れたら」
「それで終わりってね」
 その様にというのだ。
「言われているのよ」
「その辺り日本の文化ね」
「そうよ、日本はね」
 まさにというのだ。
「やっぱりそうした考えよ、武士の人は」
「遠山の金さん実際に入れてたわね」
「そうだったけれどね」
 遠山金四郎である、実在人物であり南町奉行も北町奉行も務めた庶民気質の名奉行だったことも事実である。
「例外中の例外よ」
「そうなのね」
「お侍さんはね」
 この階級の者達はというのだ。
「普通は入れないし軍人さんもね」
「入れなかったのね」
「若し入れて入隊したら」
 軍隊にというのだ。
「下士官の人に袋叩きだったそうよ」
「それはかなりね」
「兵隊さんでもで士官の人だと」
「入隊の時の検査で」
「そんなものあったら」
 身体に刺青があればというのだ。
「その時点でね」
「アウトね」
「そうなっていたわ」
 そうだったというのだ。
「兎に角軍人さんもね」
「刺青入れなかったのね」
「戦前の軍人さんって武士っていう認識だったから」
 その創設者達が他ならぬ武士出身の者達であったから当然と言えば当然であった。
「それでね」
「その為になのね」
「高倉健さんが主演の映画でもね」
 兵隊やくざという作品である。
「入れ墨入れてるのがばれて」
「袋叩きだったのね」
「そうなったのよ」 
 実際にというのだ。
「それで軍人さんもそうで他の公務員の人達も」
「入れ墨入れてなくて」
「他のお仕事の人達も」
 真っ当な人間はというのだ。
「やっぱりね」
「刺青入れなかったの」
「元々前科のある人が入れられたし」
 その証としてだ。
「まあ兎に角ね」
「日本では刺青はそうしたファッションなのね」
「ええ、だからさっきお話した漫画でも」
「不良の漫画だから」
「入れてるのよ」
「アウトローの世界だから」
「私も絶対に入れたくないし」
 咲は自分の考えも話した。
「幾ら派手なファッションしてもね」
「それでもなのね」
「刺青は入れないわ、その時はお洒落でしても」
 それでもというのだ。 
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