イベリス
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第百六話 夏休みが終わってその九
「弥生人は逆にね」
「毛が薄くてお酒弱いのね」
「そうみたいよ」
「対称的ね」
「日本人はどっちかが強く出たりね」
縄文人か弥生人かというのだ。
「片方が強く出たりね」
「するのね」
「どうもね」
「そうなのね」
「じゃあ咲っちは弥生系ね」
「ここだけの話私お酒強いけれど」
未成年なのでこのことはこっそりと話した、確かに飲んでいるが学校でそれを言う訳にはいかないのだ。
「それでもなの」
「外見がよ」
「そっちがなの」
「毛深い感じじゃないしね、それに弥生系だと」
ハンガリーの娘はさらに言った。
「信長さんの肖像画って面長で色白じゃない?」
「そう言われてるわね」
咲も否定しなかった。
「顔立ちも切れ長の目で唇が小さいのかしら」
「それじゃあね」
「私はそっちのお顔なのね」
「実際色白だしね」
このこともあってというのだ。
「咲っちはね」
「弥生系なのね」
「そっちの血が強く出てるってね」
その様にというのだ。
「思うわ」
「それはじめて言われたわ」
「そうなの」
「私弥生系なのね」
「そうじゃない?まあ日本人が混血に抵抗なくて」
「それは昔からで」
「今もってことはね」
このことはというのだ。
「わかったわ」
「そうなのね」
「ええ、それでアイヌの人達も」
「今は混血して」
本土の日本人と、というのだ。
「純血って言っていい人達はね」
「少ないのね」
「そう、それで女の人が刺青を入れることもね」
「なくなってるのね」
「今純粋なアイヌの人達も入れてないでしょ」
咲は考えつつ答えた。
「男の人も」
「刺青の風習なくなったのね」
「アイヌの人達もね、それで今の日本だと」
「普通は入れないのね」
「入れてたらやばい人っていうのが」
この認識がというのだ。
「あるわね」
「それは確かなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「そう言っていいわ」
「ファッションでもないのね」
「日本でもファッションでも」
そうした認識だがというのだ。
「おかしな人のね」
「それになるのね」
「だからね」
それでというのだ。
「普通の人はしないわよ」
「したらドキュンね」
「そうそう、それそれ」
まさにとだ、咲はハンガリーの娘に答えた。
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