八条学園騒動記
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第七百六話 スポーツの施設もその十一
「信じる神が同じならな」
「同じ宗教ですね」
「神父と牧師の区別がつかない者も多い」
連合ではだ。
「特に日本ではな」
「そうした者が多いですね」
「言われたな、教会に入った者にだ」
「牧師様かと」
「神父だと答えたが」
「カトリックは神父です」
上等兵も言い切った。
「そしてです」
「牧師はプロテスタントだ」
「そうなっています」
「エウロパではこの違いはな」
「やはりはっきりしています」
「しかしだ」
大尉はさらに話した。
「連合ではな」
「大した違いではありません」
「カトリックとプロテスタントが争うこともな」
「ないですね」
「精々宗教的な論争をしてだ」
そうなりというのだ。
「それが高じて喧嘩になる」
「それ位ですね」
「挙句キリスト教の神もな」
こちらもというのだ。
「神の一柱としてな」
「他の宗教と何も変わりない」
「そうもだ」
その様にというのだ。
「考えている」
「それ程ですね」
「そうした考えの国だ」
「宗教については」
「宗教は互いにだ」
「認め合い仲良くする」
「神父と牧師が共に酒を飲みな」
そうしてというのだ。
「またそこに仏教の僧侶なりメソポタミアの神々の神官なりもだ」
「入って」
「楽しく語り合う世界だ」
「それが連合ですね」
「神父と牧師の区別がつかないことは呆れたが」
エウロパの者としてはというのだ。
「だが同じキリストだとな」
「祈りを捧げて帰りましたね」
「宗派の違いを越えてな」
そうしてというのだ。
「そのことはな」
「認められますね」
「好きではないが」
それでもとだ、大尉は話した。
「しかしな」
「認めるものは認める」
「連合には血生臭い宗教対立の歴史はな」
それはというと。
「各国の歴史を見るとな」
「あるにはありますね」
「しかしその度合いはな」
「エウロパと比べると」
「宗教は人を救うが人を殺しもする」
その両面があるというのだ。
「素晴らしい倫理観にもなれば」
「殺戮の元にもなりますね」
「エウロパの歴史を見るとな」
そうすればというのだ。
「宗教戦争に異端審問にだ」
「血生臭いこともありましたね」
「実に多くな」
「そうでしたね」
「十字軍もあった」
ここで言う十字軍とはエルサレム奪還を目指した七回に渡る十字軍だけではない、リトアニア方面に向かった東宝十字軍も南フランスへのアルビジョワ十字軍も入る。
「そうしたものを見るとな」
「どうしてもですね」
「連合の宗教的寛容はな」
「認めざるを得ないですね」
「素晴らしいものだとな、階級がなくな」
「誰もがどういったスポーツが出来るというのは秩序がなく」
「卑しいと思うが」
エウロパの者から見ればというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「宗教的な寛容さはな」
「歴史的にも」
「少なくとも流れた血が少ないことはだ」
「認めるしかないですね」
「そうだ、ではだ」
大尉はここで話を一旦切って上等兵に話した。
「これからな」
「別の場所に行きますね」
「そうしよう、この学園は広い」
それ故にというのだ。
「まだだ」
「見るべき場所はありますね」
「そうだ、だからな」
それ故にというのだ。
「次の場所に行こう」
「それでは」
上等兵も頷いてだった。
二人はグラウンドの前から次の場所に向かった、学園を巡りその学園という連合の縮図を見る活動はまだ続くのだった。
スポーツの施設も 完
2023・3・2
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