星河の覇皇
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第八十四部第二章 交渉の用意その四十
「この言葉はな」
「そこを取り違えないことですね」
「私はそう考えている」
まさにというのだ。
「やはりこの世界はだ」
「あらゆることにルールがあり」
「その抜け道を探すこともあるが」
「破ることはあってはならない」
「ましてや我々はエウロパの者だ」
今度は真剣な顔で述べた。
「法律は守る」
「そうするものですね」
「連合の者達ですら法律は守る」
自分達が見下している彼等もというのだ。
「あれで法治国家だ」
「衆愚であってもですね」
「連合ですらそうだ、残虐な法律や刑罰を好むが」
「それでもですね」
「彼等でもだ」
それこそというのだ。
「法治国家であり法律は守り」
「恋愛でもですね」
「ルールは守る、彼等でもそうなのだからな」
そうした国だからというのだ。
「我々はな」
「それこそですね」
「法は守る」
絶対にというのだ。
「何があってもな」
「そのうえでことを進めますね」
「そうしていく、だからだ」
「これからもですね」
「ことを進める、そして」
「そしてとは」
「先程政治にルールはないといったが」
この言葉についても言うのだ。
「やはり国際法がありな」
「他にも倫理がありますね」
「謀略を使ってはいいという意味ならルールはないが」
ギルフォードが言った言葉はそうした意味だった、彼は謀略は否定しないし必要とあらば用いる主義だ。それで言うのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「あると言えばな」
「やはりあり」
「あまりにも非道ならな」
「それはなりませんね」
「認められない」
そうなるというのだ。
「先程言った社会、良識、世論といったものにな」
「許されないですね」
「良識というものは曖昧なものだが強いものでもある」
ギルフォードは淡々とした声でこの言葉を出した。
「これに逆らうとだ」
「ことを進めることもですね」
「難しくなる」
「左様ですね」
「そうだ、今挙げたものに批判されないことがだ」
「ルールですね」
「そうなる、やはりこう言うとな」
現実、この中ではというのだ。
「ルールがあるのだ」
「そういうものですね」
「だからだ」
ギルフォ―ドはさらに言った。
「そのことも心得てだ」
「マウリアで、ですね」
「動いてもらいたい」
「わかりました、それでは」
「スパイ即ち諜報員は優れた人材でだ」
ギルフォードは紅茶をまた飲みつつ話した。
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