八条学園騒動記
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第七百五話 巨人の様にその八
「飲んでな」
「そこまで大きくなりましたね」
「今では何処にもだ」
「そうした小ささはないですね」
「あの首相殿は小さい」
今の日本の首相はというのだ。
「伊東首相はな」
「確かにあの女史は小さいですね」
「一五〇程だな」
「だから小人とも言われますね」
「よく狐と言われるが」
その頭の回転の速さからである、彼女はそう言われることもここで話した。
「しかしな」
「小人ともですね」
「呼ばれているが」
「あの首相殿以外は」
「これといってだ」
「小さくないですね」
「そして本人は言われてもだ」
小人と、というのだ。
「全くだ」
「気にしていませんね」
「むしろ小さくてな」
それでというのだ。
「かえって目立てることをだ」
「喜んでいますね」
「小さいと子供の様に思われ」
伊東は実際にそうも言われることがある。
「若く見られるともな」
「言っていて」
「それでだ」
「小柄なことはですね」
「連合の中では飛び抜けて小さいが」
そう言っていいまでだがというのだ。
「しかしな」
「当人はですね」
「ほぼな」
「気にしていませんね」
「そうなっている」
「むしろ喜んでいる位ですね」
「それなら何を言ってもだ」
その体格のことをというのだ。
「意味がない」
「本人が気にしていないのなら」
「気にしていてこそだ」
そうであってこそというのだ。
「何か言われてな」
「気にしますね」
「そうなるからな」
だからだというのだ。
「あの首相殿についてはな」
「そうしたことはですね」
「言わないことだ、まあ自分の身体のことを笑い飛ばせるなら」
大尉はこうも言った。
「かなりだ」
「強いですね」
「それだけでな」
「だからあの首相殿は強いのですね」
「人間誰しも劣等感はある」
「それは絶対と言っていいですね」
「それがない人間なぞだ」
それこそというのだ。
「この世にだ」
「いないですね」
「そうだ、何かしらだ」
「劣等感がありますね」
「どれだけ偉大な英雄でも天才でもだ」
そう言われている様な人物でもというのだ。
「劣等感はある、しかしな」
「それを克服したりですね」
「笑い飛ばせる様になるとな」
そうなると、というのだ。
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