ハッピークローバー
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第八十四話 映画を観てその八
「はじまる時もわかるしな」
「あれよね」
その時はとだ、富美子も応えた。
「お話してて急にね」
「場が止まってな」
「周りから人が大勢出て来るのよね」
「すすす、とな」
他国の人間から見れば何の脈絡もなくだ。
「出て来てな」
「はじまるのよね」
「すると俳優さん達も笑顔になってな」
それまでシリアスでもだ。
「歌って踊ってな」
「そこでお話するのよね」
「何処から出て来たかわからない人達とな」
「リズムを合わせて」
「衣装も変わる」
歌と踊りの中でだ。
「一瞬で次々とな」
「一緒に踊る人達もよね」
「そして何でもな」
越智はさらに話した。
「映画館だとお客さん達もな」
「踊るのね」
「一緒にな」
「そうなるのね」
「インド映画では見どころだ」
それになっているというのだ。
「他の国の人から見たら異次元みたいでもな」
「ううん、インドの子とはそうした話はね」
「したことはなかったか」
「ええ」
富美子は正直に答えた。
「そうだったけれど」
「しかしな」
それがというのだ。
「インドではな」
「そうなのね」
「もうな」
歌と踊りの場面はというのだ。
「皆でだ」
「楽しむ時なのね」
「自分達も謡って踊ってな」
そうしてというのだ。
「楽しむ時だ」
「そうなのね」
「それでホラー映画でもな」
「それは同じなのね」
「歌と踊りがあってこそだ」
まさにというのだ。
「インド映画でな」
「ホラー映画でも欠かせないのね」
「ストーリー展開が多少以上カオスでもな」
やはり他の国の人間から見てだ、有名な踊るマハラジャという映画では主人公達を追う者達が先回りしろと言ってそのまま出て来なかった。
「歌と踊りはな」
「絶対なのね」
「それで復讐の為蘇った殺人鬼もな」
そうした設定でもというのだ。
「実に楽しそうにな」
「歌って踊るのね」
「皆と一緒にな」
「凄いホラー映画ね」
「こうしたホラー映画もある」
世界にはというのだ。
「アメリカ映画だとゾンビが多いしな」
「確かにやたら多いわね」
「中国映画は案外オーソドックスでな」
日本人から見ればというのだ。
「イギリスだとバッドエンドが多い」
「イギリスのホラー映画ってそうなの」
「助かったと思ったらな」
その時にというのだ。
「あともう少しで終わる」
「そんな時になのね」
「死ぬことが多い」
「何かそこイギリスらしいわね」
富美子も聞いて思った。
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