おぢばにおかえり
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第七十五話 天下茶屋その十
「だから嬉しいわ」
「そうなんですね」
「ええ大阪のそうした場所にいられてね」
「それは何よりです、僕ここには好きなお店が多くて」
新一君は私にこうも言いました。
「毎月一回は来てです」
「遊んでるのね」
「そうしてます、これでもシャッター少ないですしね」
「それは言わないでね」
商店街でどうしても問題になって気になることだからです。
「今は」
「シャッターのことはですね」
「やっぱりいい気持ちしないから」
「そうですね、じゃあ止めます」
「そうしてね、しかし見れば見る程ね」
本当にです。
「ここは下町ね」
「天下茶屋自体がそうですしね」
「いい場所ね、何か新一君に合ってるわね」
新一君も見て思いました。
「絵になってるわ」
「僕にもですか」
「何か普通にいる感じで」
「そうなんですね」
「私も下町の子だし」
それで、です。
「いい場所だと思うしね」
「ここに住みたいと思う時もあります」
「それだけ好きなのね」
「奈良もいいですけれどね」
「ここもなのね」
「天下茶屋も」
この場所もというのです。
「何しろここで産まれてますから、僕は」
「そうだったわね、こちらの病院で産まれたのよね」
「それで四歳まで堺の団地で暮らしてです」
「奈良に引っ越したのね」
「そうなんですよ」
「それで今も奈良で暮らしているのね」
「それでおみちの方は大叔母さんが初代で」
ここでこの人のお話をしてきました。
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