おぢばにおかえり
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第七十五話 天下茶屋その九
「ずっと」
「だから馴染んでるのね」
「そうです、何処か入りたいお店あったら」
それならというのです。
「入って下さいね」
「そこも案内してくれるの」
「そうさせてもらいます、ここはもう一通り揃ってますから」
「何でも買えるのね」
「だからいい場所なんです」
「そんないい商店街があるなんて」
私は思いました。
「結構なことね」
「そうですよね、ここにいますと」
新一君はにこにことして言いました。
「生活に困らないですよ」
「そこまでいいのね」
「じゃあどんどん紹介させてもらいますね」
こう言って実際にでした。
新一君は商店街のお店の中でこれはというお店をどんどん紹介してくれました、その中には中華料理屋さんや本屋さんがありました。
そして紹介してから私に言ってきました。
「どうでしょうか」
「さっきも言ったけれど結構な商店街ね」
「そうですよね」
「それに親しみやすさが凄くて」
下町そのもので、です。
「ドラマや映画の舞台になるのも当然よ」
「まさに人情の場所ですね」
「そう思ったわ」
それも心からです。
それで、です。私は新一君に笑顔で言いました。
「長田みたいね」
「神戸のですね
「神戸で下町はあそこなの」
長田区です。
「あそこがそうだからね」
「それで、ですね」
「あそこを思い出したわ」
「先輩長田におられますしね」
「そうなの、だから余計に親しみがあるわ」
下町の風情にです。
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