イベリス
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第百五話 何の為に学ぶかその七
「そしてな」
「他の場所に言っても」
それでもというのだ。
「文句を言うのね」
「そうなるとしか思えないだろ」
「感謝の気持ちがないなら」
「そうだ、だから天理教でもな」
「どうにもならなかったのね」
「挙句自分の叔父さん、その頃身体を壊していた人に注意されて」
「ああ、殴ってやろうかよね」
このことは咲も知っていて言った。
「そう言ったのよね」
「そしてお葬式では後の食事の時に勝手に上座に上がったんだ」
「ご家族でもないのに」
「そうした人なんだ」
「何かあらゆる意味でどうしようもない人ね」
「お母さんも言ったな、何も努力しないとな」
そうであるならというのだ。
「もうな」
「そうした人になって」
「救われないんだ」
そうなるというのだ。
「もうな」
「そうなの」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「咲は努力するんだ」
「そうならない為にも」
「少しでも。自分の出来る限りでもな」
「努力することね」
「そうしていくだ、努力するとそれだけ幸せになれてな」
そしてというのだ。
「多くのものが手に入るからな」
「努力することね」
「そういうことだ、しかし何も努力しないことがどれだけ怖いか」
父は酒を飲みつつ実感して言った。
「わかるな」
「その人のお話聞くとね」
「酷い親がいてもな」
「普通そうまでならないわよね」
「努力するからな」
「人は普通は」
「多少でもな、そして努力して」
そしてというのだ。
「そこから苦労もしてな」
「成長するのね」
「そうもなるからな、本だって自分が偉くなろうと思わずに」
「マウント取る為じゃなくて」
「ちゃんと自分の糧になる様な」
そうしたというのだ。
「読み方をしたらな」
「いいわよね」
「楽しむかな」
純粋にというのだ。
「そうすれば人間としての糧にな」
「なるのね」
「そうなるんだ、あと人間は偉いか」
父として娘に問うた。
「そもそも咲はどう思う」
「偉くないでしょ」
一言でだ、咲は答えた。
「だって神様と比べたら」
「人間は小さいな」
「皆小さいでしょ」
人間はというのだ。
「神様と比べたら」
「どんな人でもな」
「神様といっても色々だけれど」
「それでもだな」
「人間なんてね」
咲はさらに言った、そこには自分を含めてのことだ。咲は自分を決して偉いと思っていないのである。
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