星河の覇皇
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第八十四部第二章 交渉の用意その二十九
「忌まわしいことにな」
「そうはならず」
「そうだ、植民地は独立し」
「人類社会で幅を利かせる様になり」
「そして国連を好き勝手に動かしはじめてだ」
「連合を建国しました」
「そして国父ブラウベルグが生まれるまでやりたい放題を行い」
ギルフォードはエウロパから見た連合の歴史を話していく、それは彼等から見れば悪と言っていい歴史だ。
「その結果だ」
「あの様な国になりました」
「そう考えるとだ」
「植民地は植民地のままでよかったですね」
「そうだ、だが植民地経営はな」
「限度があることも事実ですね」
「だから私は執るべきではないと考えている」
「エウロパの領土にすべきですか」
「言うならば東方進出だ」
それになるというのだ。
「どうやら暗黒宙域の先に知的生命体は存在せず」
「従って衝突も起きないですね」
「だから十字軍は必要ないだろうが」
即ち軍隊による征服はというのだ、十字軍は中東や南仏だけでなく東方にも進出しキリスト教世界即ち欧州の世界を拡大していたのだ。
「しかしだ」
「あの様に、ですか」
「エウロパの領土を拡大していく」
「暗黒宙域の先に」
「その為首都の移転もだ」
これもというのだ。
「考えてもいる」
「オリンポスから」
「首都の位置は重要だ」
ギルフォードは強い声でこのことも語った。
「そうだな」
「はい、確かに」
モンサルヴァートもその通りだと語る。
「これが連邦国家なら特にです」
「首都の位置は関係ない」
「連合の様な場合は」
「あの国は太陽系に首都を置いたままだが」
「連合は三百以上の国家がその中にあります」
「その三百以上の国家の権限が強い」
「その為各国の首都があり」
その様な状況でというのだ。
「権限も分散されているので」
「だからだ」
「特にですね」
「首都が何処にあってもいい」
例え太陽系という銀河系の端にあってもというのだ。
「特にな」
「左様ですね」
「しかしエウロパは中央集権国家だ」
ギルフォードは自分達の国家の形状から話した。
「首都に権限が集中し」
「政治の中心であるだけでなく」
「文化、交通、経済、産業の中心地だ」
「そうなりますね」
「だからだ、その位置が重要だ」
「若し首都から離れている場所がありますと」
「そこの統治が弱まる」
そうなってしまうというのだ。
「そして治安悪化や独立等の原因となる」
「だからこそですね」
「エウロパは首都の場所が重要だ」
即ち中央集権国家はというのだ。
「どうしてもな」
「左様ですね」
「だからだ」
それでというのだ。
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