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ドロノキ

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第二章

「煙に寄ってきた悪霊も木屑が呼び込む疱瘡もだ」
「潰すのですか」
「来た時に」
「そうだ、臼がなったバケモノも棒がなる怪鳥もだ」
 そういったものもというのだ。
「常にだ」
「倒す」
「そうなった時点で」
「そうすればいいのですか」
「あの木は災いを呼んでだ」
 そしてというのだ。
「その都度な」
「潰すのですね」
「その為にあるものなのですね」
「そうした木なのですね」
「そうだ、あの木は災いではなくな」
 そうでなくというのだ。
「それを呼び出しな」
「潰す」
「そして災いを減らす」
「その為の木なのですね」
「そうなのだ、だからな」 
 それ故にというのだ。
「そうした風に用いるのだ」
「成程、そうでしたか」
「それがドロノキですか」
「そうなのだ、ではこれからはだ」
 カムイは人間達に話した。
「その様に用いるのだぞ」
「はい、よくないものを招いて倒す」
「そして減らす為に用いていきます」
「ドロノキは」
「そうしていきます」
「この世に不要なものはない」
 そんなものは創らなかったとだ、カムイは話した。
「要は用い方なのだ」
「それ次第ですね」
「それ次第で必要になる」
「そうなのですね」
「それもまた知恵だ、その知恵を用いてだ」 
 そのうえでというのだ。
「生きていくのだ、いいな」
「はい、そうしていきます」
「これからも」
「ドロノキだけでなくです」
「他の物事についても」
「その様にな」
 こう告げてだった。
 カムイは天界に戻った、そして他のカムイ達と共に天界から人間達を見ていると彼等はしっかりとだった。
 ドロノキをその様に用いかつ他の物事もそうしていた、カムイ達は知恵を使って暮らしている彼等を見て満足した。アイヌに伝わる古い話である。


ドロノキ   完


                2023・4・14 
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