無糖専門の理由
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第一章
無糖専門の理由
蝦夷直美は職場でいつもお茶を飲んでいる、それは麦茶や玄米茶の場合もあれば紅茶の場合もある。コーヒーを飲む時もある。
だがそこに絶対に砂糖は入れない。いつもそのまま飲んでいる、そんな彼女に先輩で肉体労働担当の陸奥宗吾は尋ねた。
「直美ちゃんいつも飲みものに砂糖入れないよな」
「はい、ペットボトルでもです」
直美は陸奥に答えた、丸顔ではっきりした目の童顔だ。黒髪は顎の先の高さで切り揃えている。背は一五四程でスタイルは結構なものである。
「お砂糖の入っていないものです」
「コーヒーでもか」
「そうしてます」
「それはどうしてなんだい?」
陸奥は直美にその理由を尋ねた、面長で癖のある赤髪で細い目で明るい顔立ちだ。背は一七一程で痩せている。
「甘いものを飲まないのは」
「糖尿病怖いですから」
「いや、糖尿ってそうはならいだろ」
直美の返事にだ、陸奥は首を傾げさせて答えた。
「あんまりな」
「甘いもの食べないとですね」
「ならないだろ」
「いえ、なりますと」
直美は陸奥に真剣な顔で答えた。
「油断していますと」
「そうか?」
「はい、ちょっとです」
それこそというのだ。
「甘いものを飲み過ぎたら」
「食ってなくてもか」
「実はジュースとかは」
飲みものの話をさらにするのだった。
「糖分が多くて」
「それでか」
「飲み過ぎますと」
そうすればというのだ。
「すぐにでもです」
「糖尿病になるんだな」
「そうです、スポーツドリンクも要注意ですよ」
「えっ、俺肉体労働だからな」
現場で働いていてとだ、陸奥は直美の今の言葉に驚いて言葉を返した。
「結構な」
「スポーツドリンク飲まれてまう?」
「そうなんだよ、夏場は特にさ」
まさにというのだ。
「水分吸収もいいっていうしさ」
「それは事実ですが」
「飲み過ぎると駄目なんだな」
「はい、糖分も入っていますから」
「そういえば中に何が入っているか見たらな」
「書いてますね」
「そうだよな」
直美のその指摘に頷いた。
「ちゃんと」
「それも結構です」
「入ってる量多いんだな」
「そうなんです、ですから」
それでというのだ。
「あまりです」
「飲み過ぎないことか」
「スポーツドリンクも」
「そういえば俺普段から水分かなり摂るよ」
陸奥は自分のことを振り返ってこのことに気付いた。
「普段からな」
「冬でもですね」
「ああ、肉体労働抜いてもな」
そうしてもというのだ。
「かなりな」
「飲まれますな」
「ジュースとかですね」
「スポーツドリンクとかな」
「肉体労働されていても」
それで身体を動かしてもとだ、直美はまた言った。
「本当にです」
「注意しないと駄目か」
「うちの会社毎年健康診断してますから」
「その時にか」
「チェックしてもらって下さい」
「糖尿病のか」
「そうして下さい」
「健康診断もうすぐだし丁度いいな」
陸奥は直美の話を聞いてそれならと頷いてだった。
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