先生の下着は何色

「何でもないわ、あと下着の色は」
「ええ、どんな下着なの？」
「白？ピンク？」
「それとも黒？」
「そこまでは言わないから」
　家族でもとだ、百合は憮然として言うのだった。　　
　このことに対してだけは誰にも言わなかった、だが。
　家で洗濯をしている時にだ、百合は姉に言った。
「お姉ちゃんまだこうした下着なのね」
「まだって何よ」
「だから熊とか兎の」
「そうした下着が好きなのよ」　
　室内干しをしている妹に言うのだった。
「私は」
「子供じゃないんだから」
「好きなものは仕方ないでしょ」
　妹に顔を赤くさせて反論した。
「下着はね」
「全く。私なんてね」
　百合は自分の下着の話をした。
「かなり凝ってるのに」
「そう言うけれど純白とかピンクばかりね」
「女の子らしいっていうのね」
「そうなのに」
「私は子供っていうの」
「女の子と子供は違うでしょ」
　姉に口をへの字にさせて告げた。
「それでお姉ちゃんはね」
「下着は子供っていうのね」
「折角お顔とボディは大人なのに」
「いいじゃない、好きなんだし」
　美紀は憮然として言葉を返した。
「下着の趣味はそれぞれでいいでしょ」
「そうだけれどね。ただ彼氏さんが出来たら言われるわよ」
「子供みたいって？」
「絶対にね」
「それでもいいわよ」
　今度は開き直った様に言葉を返した。
「好きなんだから」
「やれやれね、まあ法律で駄目ってなってないし」　
　熊た兎の下着でもとだ、百合は反撃をしてきた姉に言った。
「別にいいわ、これ以上言わないから」
「そうしてね、私だってあんたの下着に言わないでしょ」
「ええ、じゃあお互いってことで」
「誰にも言わないでよ」
「お互いにね」
　姉妹でこんな話をした、そしてだった。
　部屋の中で下着を干した、百合も美稀も以後お互いの下着のことを言わずまた他の誰にも言わなかった。だが。
　やがて美紀は結婚して百合も大学生になった、そして家族旅行で温泉に行った時にお互いの下着を見て言った。
「変わってないわね」
「どっちもね」　
　二人で話した、そしてその下着を脱いで温泉に入った。もう下着のことはこれだけであった。


先生の下着は何色　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３・６・２２