ハッピークローバー
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第八十二話 阪神圧勝その八
「中学の時の野球部の後輩の」
「ドイツで野球って」
「最近やってるらしいんだ」
「そうなの」
「欧州でも徐々にね」
「野球やる人増えてるのね」
「フランスなんか吉田義男さんが行って」
他ならぬ阪神のショートとして活躍した選手である、小柄で俊足かつ堅守と巧みなバッティングで牛若丸と呼ばれた。
「野球教えてムッシュ吉田って呼ばれてたよ」
「そうだったのね」
「この人もいて」
「欧州でも野球広まってるのね」
「最近はね」
「それでドイツの子が言ってたの」
「二次大戦やたらあの人が戦場に口出しして」
「あのチョビ髭の人ね」
一華はその人が誰かすぐに察して言った。
「小柄って言われてたのに実は一七〇あった」
「当時のドイツでも全然小さくなかったね」
これは当時の写真や映像を見ればすぐにわかる、この人物は実は小柄ではなくどう低く見ても中背はあった。
「あの人だよ」
「色々やった人だけれど」
「あの人が戦場に介入して」
そしてというのだ。
「滅茶苦茶になったそうだよ」
「そうなのね」
「それでソ連の方も」
そのナチス=ドイツと戦っていただ。
「もう一人のお髭の人がね」
「ああ、ジョージア生まれの」
「やたら戦場に介入して」
「酷かったのね」
「そうらしいよ」
「そうだったのね」
「日本は負けたけれど」
その二次大戦にだ。
「現場、戦場への介入とかね」
「なかったわね」
「昭和帝そんな方じゃなかったから」
そうしたことを踏まえた方であられたのだ、この辺り真の君主と独裁者の違いとも言えるだろうか。
「それでね」
「そんなことされなくて」
「まだよかったかもね」
「オーナーが采配のこと言ってもね」
「これ今の楽天もらしいけれど」
そうした話が野球ファン達の中では言われているのだ。
「現場にいないのにね」
「ああしろこうしろって」
「言ってるらしいよ」
このチームもというのだ。
「オーナーの観戦はいいとして」
「そこであれこれ言うのは」
「本当にね」
それはというのだ。
「チームが弱くなる要因だよ」
「だからしたら駄目ね」
「何があってもね」
幾らチームのことが気になってもだ。
「あくまで試合は選手の人達がすることで」
「フロントが言っても仕方ないってことね」
「任せることは任せる」
達川は言い切った。
「さもないとナチスやソ連と同じだよ」
「あのお髭のおじさん達と」
「ドイツの子も困ったみたいなお顔で言ってたし」
「実際に大変なことになったから」
「そう、オーナーでもやったら駄目なことがある」
「そういうことね」
「今の阪神のフロントはそこも大丈夫だから」
それでというのだ。
「余計に強いんだよ」
「そういうことね」
「今は打線も強いし」
かつて伝統的に貧打に泣いたがだ。
「投手陣は相変わらずだし」
「万全よね」
「死角はないから」
今の阪神にはというのだ。
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