ハッピークローバー
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第八十二話 阪神圧勝その七
「それでね」
「勝てなかったのよね」
「そうだったんだ」
暗黒時代の阪神はというのだ。
「もう打つ方が全く駄目で」
「今の阪神はダイナマイト打線でね」
「いつも打率二割九分でホームラン二百本で」
「打点も凄くて」
「そうだけれどね」
それがというのだ。
「あの頃はね」
「打たなくて」
「エラーもあって」
これも結構目立ったのだ。
「結果としてね」
「負けてばかりで」
「最下位になることもあったんだ」
「最下位多かったのよね」
「監督が交代しても」
それでもというのだ。
「中々ね」
「よくならなかったのね」
「野村さんがなっても」
野村克也、知将と呼ばれた彼がだ。
「けれどね」
「弱くて」
「そのままでね」
それでというのだ。
「星野さんが監督になって」
「やっと変わったのよね」
「そうだったんだよ」
「そこから暗黒時代が終わったのね」
「そうだったんだ」
まさにというのだ。
「阪神はね」
「暗黒時代は大変だったのね」
「今は強いけれど」
「あの頃は」
「それでフロントも」
そちらもというのだ。
「本当にね」
「よくなったわね」
「フロントがよくなると」
それならというのだ。
「その分ね」
「チームもよくなるわね」
「巨人を見ればわかるよ」
「いつもチームに口出しして」
「お金も出さない、いや」
「出せないわね」
「一番いいのはね」
チームにとってそうしたフロントはというのだ。
「お金は出すけれどね」
「口は出さないね」
「国際政治ならお金を出したら言うけれどね」
「その分ね」
「スポーツはね」
こちらではというのだ。
「お金を出して」
「口は出さないことなのね」
「だって試合するのはチームだから」
他ならぬ彼等だとだ、達川はまた言った。
「選手の人達で」
「監督さんでコーチの人達よね」
「他の誰もね」
それこそというのだ。
「やってないよ」
「そうなのよね」
「これは戦争の話だけれど」
達川はこう前置きして話した。
「戦場のことに独裁者が口を出して」
「負けるのね」
「ドイツからの子が言ってたよ」
この国から来た生徒がいうのだ。
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