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イベリス

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第百三話 夏休みの宿題その九

「何度も自殺騒動起こして」
「心中で相手の人亡くなったりね」
「薬物中毒になったり」
「壇一雄を大騒ぎさせて自分は将棋か囲碁やってたし」
「何とね」
「色々あったの人なのよね」
「それを見たら」
 どうにもと言うのだった。
「人間としてはどうかってなるわね」
「そうなのよね」
 咲も首を傾げさせつつ言った。
「あの人って」
「最後は心中してるしね」
「そうした人生だったから」
「否定的に言われることも多いわね」
「私達にしてもね」
「そう思うわよね」
「どうもね」
 二人で話した、そしてだった。
 咲はあらためてだ、高級性にこんなことを言った。
「そうした人でも書いた作品は今も残っていて読まれてるわね」
「私達も読んだしね」
「そのことは凄いことよね」
「そうよね、問題があっても」
「今も沢山の人が読んでね」
「あれこれと考えられて」
「そうしたことを見たら」
 同級生に今度は考える顔で話した。
「人間ってわからないわね」
「そうね、ずっと芥川を敬愛していたのは」
「芥川賞必死に取ろうとしてたし」
「紛れもない事実よね」
「太宰はずっと芥川が心の中にあったみたいね」
 それこそ彼が小説を読む様になりこの世を去るまでだ、芥川の自殺を知って非常に強い衝撃を受けたという。
「芥川を敬愛して尊敬して」
「それで生きていって」
「それで書いていって」
「最後は芥川みたいに自殺したのね」
「そうなるわね、二人共イケメンだしね」
「ああ、そうなのよね」
 同級生は咲の今の言葉に大きく頷いて言った。
「太宰ってかなりイケメンで」
「芥川もなのよね」
「イケメンよね」
「だから太宰はもてたし」  
 女性からであることは言うまでもない。
「芥川もね」
「もてたの」
「みたいよ、結構女性関係あったみたいよ」
 芥川の人生には何人かの女性の影が見られるという人もいる程だ。
「どうもね」
「やっぱりもてたのね」
「あのお顔立ちで東大で抜群の秀才でね」 
 あまりにも優秀なので無試験で入学し二番で卒業している。
「滅茶苦茶教養あって売れっ子作家よ」
「もてない筈がないわね」
「太宰だって東大だしね」
 ただし彼は中退である。
「それにお金持ちの家の人だし」
「青森の大地主さんの五男さんよね」
「今も政治家やっているお家だし」
 津島家という、太宰治はペンネームであり本名は津島修治といった。
「そうした家のこともあって」
「もてたのね」
「みたいよ、二人共ね」
「そうなのね」
「作家さんと言っても色々で」
 咲はさらに言った。
「イケメンの作家さんもいるけれど」
「太宰とか芥川はかなりよね」
「志賀直哉とか三島由紀夫もイケメンだったけれどね」
 尚二人共太宰とは何かがあった、太宰はその人生の最後で人間失格と共に如是我聞を書いているがこの作品の中で志賀を批判している。それも芥川の様にと言っている。 
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