X ーthe another storyー
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第二十二話 姉妹その十
「それを感じ囚われますと」
「引き摺り込まれ」
「中に落ちていきますか」
「そうなります」
「それが孤独ですか」
「恐ろしいものなのですね」
「わらわはずっと孤独を恐れています」
言葉は現在進行形だった、そこに全てが出ていた。
「幼い頃から。ですから」
「そうお考えになられるのですか」
「今も」
「そうです、孤独ではないとです」
周りを見ればというのだ。
「その筈ですが」
「それでもですか」
「そう思われることがあるのですね」
「はい、杞憂ですね」
今度は自分で自分に言い聞かせる様にして言った。
「それは」
「はい、私達がです」
「常にお傍にいます」
二人で丁に話した。
「そして玳透殿もおられ」
「天の龍の方々も」
「そうですね、では今日もお会いしますし」
彼等と、というのだ。今名前を挙げた。
「食事の後で務めに入ります」
「お願いします」
「これからも」
二人は静々と応えそうしてだった。
丁の食事を見守った、食事はつつがなく終わり今日も仕事に入った。その同じ時庚も食事を摂っていたが。
共に食べる仲間達にだ、こんなことを言った。
「姉さんは孤独なのよ」
「丁さんはですか」
「ええ、周りに多くの人がいつもいるけれど」
遊人に洋食の朝食を食べながら話した。
「けれどね」
「それでもなのですね」
「夢見そして贄となる」
「そのお仕事の為に」
「誰にも出来ないから」
だからだというのだ。
「それでよ」
「孤独なのですね」
「孤独は地獄よ」
庚は一瞬だが俯き深刻な顔になって述べた。
「これ以上はないまでのね」
「どうなのかしら」
「ええ、一人でいることはね」
今度は颯姫に話した。
「辛いことよ」
「私は一人でいることが多かったけれど」
「そうかしら」
颯姫の言葉に微笑んでこう返した。
「それは」
「違うというの」
「貴女はご家族がいるわね」
「ほぼ関りがないわ」
「そう思っているのね」
その微笑みのままでの言葉だった。
「貴女は」
「言っている意味がわからないけれど」
「お友達もというのね」
「必要と思ったことすらないわ」
「それでお話もよね」
「あまりしていないわ」
「けれどクラスでも話すわね」
「どうと思わなくても」
颯姫自身はというのだ。
「私に授業のことを聞いてきたり」
「そうしたことはあるわね」
「ええ」
その通りだと答えた。
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