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星河の覇皇

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第八十四部第二章 交渉の用意その七

「優れた国民は優れた指導者を選ぶ」
「民主主義の摂理ですね」
「その通りだ、衆愚は愚かな指導者を選ぶな」 
 ギルフォードはここであえて逆のことも言ってみせた、先程自分が言ったその言葉とは真逆のそれをだ。
「そうだな」
「古代ギリシアでもそうでしたね」
「あの時は市民が衆愚と化していたな」
「そうして煽動者達に騙されていた」
「衆愚政治となっていた」
「そうして古代ギリシアの民主主義は終わった」
「そうなった、そして連合なぞはだ」
 今度はこの国のことを話した。
「まさに常にだ」
「大衆という名の衆愚ばかりで」
「階級がないと自慢しているがな」
「その実はというと」
「只の衆愚の集まりだ」
 それに過ぎないとだ、ギルフォードは言い切った。
「その実はな」
「そしてその結果ですね」
「あの国は常にまとまっていない」
「中央政府と各国政府が常に争い」
「そして各国政府間でもだ」
「挙句はそれぞれの国家の中でも」
 カミュもコーヒーを飲みつつシニカルに話す、だがそこには優雅さもあり独特の雰囲気を醸し出している。
「それが連合ですね」
「階級がないことは確かだが」
「それは全ての者が衆愚ということで」
「あの国は常に衆愚が愚かな指導者を選び」
「まとまっていないですね」
「連合で私に匹敵する者は一人だ」
 ここでギルフォードはこう言った。
「僅かな」
「その一人はやはり」
「中央政府国防長官八条義統だ」
「あの御仁ですか」
「あの男は凄い」
 八条、彼はというのだ。
「軍人出身であるが戦術指揮の能力は未知数だが」
「戦略、そして政治家としての資質がですね」
「かなりだ、彼は違う」
「そこまでの人物なので」
「彼だけはエウロパにいればとさえ思う」
「若しエウロパにいれば」
「私の下でエウロパの発展にその力を発揮していた」
 そうなっていたというのだ。
「まさにな」
「私は彼は傑物と見ています」 
 カミュも八条についてこう述べた。
「敵であるので恐ろしい人物ですが」
「味方ならばな」
「どれだけエウロパに貢献しているか」
「そう思う、だが連合自体はな」
「衆愚ですね」
「数だけだ、しかしエウロパは違う」
 話を戻してそのうえで語った。
「有権者は優秀だ」
「だから閣下を選ばれて」
「そしてエウロパは発展している、また優秀な有権者達は選挙において優秀なだけでなく」
 さらにというのだ。
「それぞれの職務でもだ」
「優秀ですね」
「だから私が発展の為の政策を出すと」
 そうすると、というのだ。
「百の政策を出すとだ」
「それ以上の働きをしてくれる」
「そうだ、百二十の働きをだ」
 そこまでのことをというのだ。 
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