ドリトル先生と桜島
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第四幕その六
「本当にね」
「ましなんだ」
「そうだったんだ」
「毎日みたいに噴火しているけれど」
「それでも」
「そうだよ、浅間山という火山があるけれど」
日本にはというのです。
「あの山が噴火したら凄かったんだ」
「ええと、浅間山ってね」
「江戸時代に噴火したんだったね」
「確か」
「そうだったわね」
「そう、その火山灰が日本の殆どを覆ってね」
そうなってというのです。
「天明の大飢饉が起こったんだね」
「あの大飢饉だね」
「その飢饉が起こって」
「それでだね」
「日本は大変なことになったね」
「あの時は」
「そうもなったし富士山だったね」
日本を代表するこの山もというのです。
「火山だね」
「そうだったね」
「あの山もね」
「長い間噴火していないけれど」
「それでもだね」
「噴火したらね」
その時はというのです。
「日本全体がだよ」
「大変なことになるんだ」
「その時は」
「まさに」
「そうなるからね」
だからだというのです。
「まだ桜島はね」
「ましなんだ」
「鹿児島県を火山灰で覆っていても」
「毎日みたいに噴火していても」
「ほら、見てみて」
先生はここで上を見上げてです。
そうしてお空を指差しました、そのうえで言うのでした。
「青空だね」
「まさに南国のね」
「そのお空だよ」
「今の鹿児島のお空は」
「幾ら噴火しても火山灰でお空を覆わないね」
桜島はというのです。
「そうだね」
「うん、確かにね」
「それはないね」
「そうしたことはないわ」
「けれど浅間山の噴火は日本全体を覆ってね」
そうしてというのです。
「それでね」
「飢饉までもたらしたんだ」
「歴史に残る大飢饉を」
「そこまで凄かったんだ」
「そうだったんだ、火山はね」
その噴火はというのです。
「ボンベイでもそうだね」
「ああ、ローマの頃のね」
「あの街一つを飲み込んだっていう」
「あの噴火だよね」
「物凄かったよね」
「ああしたこともあって浅間山もね」
この山の噴火のお話をさらにします。
「犠牲者が出て逃げる時お母さんをおぶっていた娘さんもね」
「一緒になんだ」
「犠牲になったんだ」
「そうだったんだ」
「そうなんだ、溶岩か土砂崩れに飲み込まれてね」
そうしてというのです。
「後の調査でその時の骨が見付かってるんだ」
「凄いね」
「聞いただけで寒気がするよ」
「そんなことがあったなんて」
「これだけね」
まさにというのです。
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