X ーthe another storyー
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第二十一話 哀愛その十六
「私もまた買いたいものがあったら」
「行かれるんですね」
「そうするわ、ではそれぞれのお家に戻る前に」
「都庁にですね」
「顔を出しましょう」
「挨拶ですね」
「それと庚がお茶を淹れてくれるそうだから」
このこともあってというのだ。
「ご馳走になる為にもね」
「行くといいですね」
「そうよ、ではね」
「はい、今から」
「都庁に行きましょう」
こう話してだった。
二人で都庁に行くとだった。
庚以外に既に遊人がいてお茶の用意をしていた、それを見てだった。
颯姫は一瞬顔を曇らせてそのうえで遊人に尋ねた。
「何時からお二人で」
「今来たばかりですよ」
遊人は笑顔で答えた。
「僕は」
「そうなの」
「はい、ですからまだコートもです」
「そういえば脱いでいないわね」
「脱いでからでいいと言ったのよ」
庚は少し苦笑いで話した。
「けれど二人がそろそろ来る頃だから」
「まずは用意をしようということで」
「それでなのね」
颯姫は納得した様に応えた。
「よかったわ」
「よかったですか」
「えっ、いや」
言ってからだ、颯姫は言われて気付いた。
「何がよかったのかしら」
「そうですよね、何がよかったのか」
哪吒もどうかという感じで言って来た。
「どうも」
「ええ、私どうしたのかしら」
「まあお気になさらずに」
遊人は優しく微笑んで述べた。
「ではお茶を飲みましょう」
「ええ、それじゃあ」
「そうしましょう」
「今日はいいケーキがあるから」
庚はお茶菓子の話もした。
「それとワインもあるわよ」
「お茶を飲んでもいいし」
「ワインもね」
こちらもというのだ。
「よかったらね」
「いただくわ」
「ブランデーをね」
庚はこちらの鮭の話もした。
「紅茶に入れてもよ」
「美味しいんですか」
「どちらも直接飲んでもいいけれど」
紅茶もブランデーもだ、庚は哪吒にも話した。
「けれどね」
「紅茶にブランデーを入れてもですか」
「美味しいわよ」
「では今日はそちらを」
「飲むのね」
「僕はミルクティーにしますね」
「私も」
遊人の話を聞いてだ、颯姫もそれにと言った。それもすぐに。
「そうするわ」
「お揃いですね」
「え、ええ」
遊人に顔を向けて答えた。
「そうね」
「はい、それでは」
「ええ、今日はね」
「そちらを飲みましょう」
「私はワインにするわ」
庚はそちらにした。
「赤をね」
「ケーキには赤ワインね」
「これもまた合うから」
だからだというのだ。
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