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X ーthe another storyー

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第二十一話 哀愛その三

「その心までええと思って」
「そこにいてよかったのね」
「それで特にな」
 隣にいる嵐を見て笑って話した。
「嬢ちゃんがいてな」
「そこで返事があると思うかしら」
「ないやろな」
「そうする気はないわ」 
 無表情での返事だった。
「私はね」
「そやな」
「言う義務がないから」
「つれないなあ」
「けれど嫌いではないわ」
 嵐は無表情のままだがこうも言った。
「そのことは言っておくわ」
「そうなんか」
「ええ、嫌いな人とこうして一緒にいることは」
 それはというと。
「私は出来ないから」
「嫌いやとか」
「一緒にいることは」 
 それはというと。
「無理よ」
「そやねんな」
「だからね」
 それでというのだった。
「今言っておくわ」
「嫌いやないって」
「ええ、ではこれからね」
「宿場町に行ってな」
「昴流さんに会いましょう」
 二人で山道を進みながら話した、そしてだった。
 空汰と嵐は宿場町に向かっていった、二人がそうしていた頃。
 征一狼は護刃に火煉それに神威を呼んでだった。
 あるドーナツ屋において一緒にドーナツを食べながらだった、同席している彼等に微笑んで話した。
「美味しいですよね」
「はい、凄く」 
 護刃は頭から猫耳を出さんばかりに喜んで答えた。
「どのドーナツも美味しいです」
「実は担当の先生がです」
 漫画家のというのだ。
「無類の甘党で」
「それでなんですか」
「先生に紹介してもらって」
 そしてというのだ。
「知ったお店で」
「それを私達にもですか」
「紹介させてもらいました」
「そうなんですね」
「東京にいますと」
 征一狼はさらに話した。
「こうしたです」
「お店もあるんですね」
「それも多く」
「そうなのよね」 
 火煉もドーナツを食べつつ微笑んで話した。
「この街にいるとね」
「いいお店が沢山ありますね」
「ええ」
 その通りだと答えた。
「本当にね」
「ですから」
「そうしたお店に行って楽しんで」
「そして何度でもです」
「楽しみたいわね」
「そうですよね」
「私も甘いものが好きだから」 
 火煉は微笑んでこうも言った。
「だからね」
「このお店もですね」
「気に入ったわ、またね」
「お邪魔して」
「楽しみたいわ」
「そうだな、今度だ」
 神威も言ってきた。 
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