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星河の覇皇

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第八十四部第一章 梟雄の復活その三十

「我々はだ」
「常にですね」
「こうして騒ぐことなく」
「焦ることなくですね」
「冷静にですね」
「そうあるべきですね」
「今も」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「我々はいいな」
「はい、わかりました」
「それでは落ち着きを取り戻します」
「その様にします」
「コーヒーを飲むか」
 落ち着く為にというのだ。
「若しくは酒を飲むか」
「酒ですか」
「それを飲むのですか」
「今から」
「酒は心を落ち着かせもする」
 騒ぐそれをというのだ。
「エウロパでは軍議の時に飲んでいる」
「あの国はその様ですね」
「普通に将官それぞれの前にボトルとグラスが一つずつ置かれているとか」
「それを飲みつつ軍議を行うとか」
「そう言われていますね」
「それで軍議に支障を来たすことはない」 
 尚連合軍では軍議の間どころか勤務中に酒が出ることは決してない、勤務つまり課業が終わってから飲むものだ。
「過ぎなければいいのだからな」
「ならですか」
「ここは我々もですか」
「適度に飲み」
「そうしてですか」
「気を鎮め」
「今は待つべきですか」
「それがいいだろう、少なくとも憔悴はだ」
 それはというのだ。
「士官、しかも軍を動かす将官が見せるものではない」
「常に落ち着いてあれ」
「泰然自若であればよい」
「だからですね」
「ここは」
「飲みたい者は飲めばいい」
 こう言うのだった。
「アッラーに謝罪した故でだ」
「飲むからですね」
「だからですね」
「それならば」
「アッラーは飲酒を窘めておられるので」
 時代によっては飲むなと解釈されるがこの時代のサハラでは過ぎなければいいとされているのだ、この辺りの解釈はまことに時代によって違う。
「飲むならですね」
「それならばですね」
「アッラーに謝罪し」
「それからですね」
「飲むことだ、それぞれそうするのだ」
 こう言ってサルマーン自身もだった。
 ワインのグラスとボトルを一つずつ持って来させた、そうして自らコルクを外しグラスに注ぎ込んで飲んだ。白だった。
 一口飲んでだ、彼は言った。
「美味い、そしてだ」
「落ち着かれますか」
「飲まれますと」
「そうなりましたか」
「実にな、諸君等もそうするのだ」
 自分と同格だが任官は後の上級大将そして大将や中将達に話した。
「飲みたいならな」
「わかりました、では」
「飲んでです」
「そうしてです」
「心を落ち着けます」
「そうします」
「憔悴は誰もが感じるが」
 しかしというのだ。 
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