| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七百一話 潜入前にその八

「そうであるからな」
「最新の注意を払うべきですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうしないとだ」
「疑われますね」
「そこから足がつくとな」
「心得ることですね」
「理想は道の石になることだ」
「石ですか」
「それも小石だ」
 石は石でもというのだ。
「道の小石なぞ誰も意識しないな」
「はい」
 上等兵もその通りだと頷いた。
「そうですね」
「そうだ、小石の様にだ」
「存在感をなくすことですか」
「連合ではよくモブと言うな」
 大尉はこの表現も話した。
「アニメや漫画の通りすがりの人物だ」
「ドラマや映画でもですね」
「ただそこにいるだけの者は誰も気にしないな」
「小石と同じく」
「主要登場人物なら意識する」 
 出て来ればというのだ。
「そうなるが」
「しかしですね」
「モブなぞだ」
 上等兵が言った様にというのだ。
「誰も意識しない」
「だからですね」
「モブになることもだ」
「いいですね」
「兎角存在感をなくす、かつだ」
「連合の言語を使い」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「話しても誰にもわからない」
「そうした言語であるべきですね」
「八条学園は連合中から人が来ている」
 連合の三百以上ある国の中からだ。
「だから大抵の言語を使ってもな」
「わかってしまいますね」
「それでだ」
「連合の言語でもですね」
「とりわけわかりにくいな」
「薩摩星系の方言ですね」
「連合のそれを用いてだ」 
 そうしてというのだ。
「話していくぞ」
「そうしますか」
「銀河語か日本の標準語でもいいと思うが」
 それでもというのだ。
「若しだ」
「話を聞かれて」
「何の話と思われるかと思うとな」
「そこから疑われると考えると」
「やはりな」
 どうしてもというのだ。
「その方がいいとだ」
「思われるので」
「それでだ」
 だからだというのだ。
「ここは薩摩星系から来たな」
「日本人だとですね」
「そうだということにしてだ」
 そしてというのだ。
「潜入するぞ」
「そうしますね」
「薩摩星系の方言で話すと」
「ちょっとやそっとではですね」
「流石にこの言葉を喋ってな」
「何を話しているかですね」
「連合の者でもわかる者は少ない」
 大尉は確信を以て上等兵に言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧