八条学園騒動記
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第七百一話 潜入前にその七
「方言もだ」
「使うことですか」
「脳内でな」
それぞれのというのだ。
「そうすべきだ、そういえばだ」
「そういえばといいますと」
「薩摩星系の方言のことは聞いたか」
「薩摩ですか」
「あの星系のな」
こう上等兵に問うた。
「君は聞いたことがあるか」
「薩摩星系のことも調べていますが」
それでもとだ、上等兵は答えた。
「喋るにはです」
「難しいな」
「はい、他の言語にです」
日本語でなくというのだ。
「聞こえます」
「そうだな」
「あの方言は」
「しかもどの国の言語なのか」
「わからないな」
「あまりにも独特で」
その為にというのだ。
「日本語自体が独特ですが」
「あまりにもな」
「それをさらにです」
「日本人が聞いてもだ」
大尉は薩摩星系の方言かつて薩摩藩が他の藩特に幕府の者が聞いてもわからない様に造り上げた言葉の話をした。
「わからない様にしたからな」
「あまりにも独特ですね」
「そうした言葉でな」
それでというのだ。
「あの様になっている」
「左様ですね」
「あの言語でいくか」
大尉は上等兵に話した。
「会話は」
「学園に潜入する時は」
「そうするか」
「そうですね、教会を出て」
そうしてとだ、上等兵も応えた。
「途中何処かに寄って」
「そこでアジア系かアフリカ系の血を入れたな」
「そうした外見に変装して」
「聖職者の身なりでもな」
カトリックのというのだ。
「そうしてな」
「学園に入りますか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「日本の薩摩星系の方言でな」
「会話をしますか」
「思考に使う言葉もだ」
これもというのだ。
「それにするか」
「徹底していますね」
「徹底してこそだ」
「ばれないですね」
「いいか、疑われるだけでだ」
大尉は上等兵に強い声で言った。
「工作員は危うい」
「その時点で、ですね」
「そこから調べられてな」
「工作員と判明しますね」
「ここは軍事施設はないが」
そして軍人はいないがというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「敵地だ」
他ならぬその場所にだ、自分達はいるというのである。
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