X ーthe another storyー
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第十九話 友情その十一
「地球をどうにかする位の力はないわ」
「どうしても」
「だから私は人間を滅ぼす考えはね」
「実はないですね」
「それよりもね」
むしろと言うのだった。
「姉さんをね」
「お救いしたいですね」
「姉さんは危ういわ」
心から心配しての言葉だった。
「本当にね」
「徐々にです」
「もう一人の姉さんが出て来ているわね」
「はい」
まさにとだ、牙暁は目を閉じて答えた。
「そうなっています」
「そうね、あと少しで」
「あの方はもう一人のご自身に囚われ」
「支配されるわね」
「お身体はあの方のままでも」
「心はね」
それはというのだ。
「もう一人の姉さんになって」
「あの方でなくなります」
「もう一人の姉さんは違うわ」
庚はその整った眉を曇らせて話した。
「全く以てね」
「はい、若しあの方が出られたなら」
「本当の意味でね」
「恐ろしいことになりますね」
「そうなるわ、何もかもを害する」
そうしたというのだ。
「恐ろしいことにね」
「あの方のお力を悪用した」
「姉さんは確かに五感はないわ」
庚は丁のこのことも話した。
「それでもね」
「普通の人より遥かにです」
「ええ、見ることも聞くことも感じることも」
「出来ていて」
「術もよ」
こちらもというのだ。
「実は天の龍、地の龍の誰よりもよ」
「お持ちです」
「その力を悪用すれば」
それこそというのだ。
「何もかもがよ」
「崩壊します」
「人間も地球も」
その全てがというのだ。
「終わってしまうわ」
「地球は表面だけですが」
「そこにいる命もね」
「全てが終わり」
「何もかもがよ」
それこそというのだ。
「終わってしまうわ」
「例え地球は再生しても」
「地の龍が勝った場合なると私が言う未来とはね」
庚は彼女達に言っているそれとはというのだ。
「また違った」
「最悪の未来にですね」
「なるわ、私は実は人間の世界は終わって欲しくないし」
庚はその本音も話した。
「そしてね」
「それで、ですね」
「ええ、さらにね」
言葉を続けていった。
「地の龍だけでなく天の龍も」
「出来るだけ殺したくないです」
「そうよ、けれどもう一人の姉さんは違うわ」
「あの方が真逆になった様な」
「恐ろしい、魔物よ」
庚は言い切った。
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