秘術師の救済
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第四章
「それが秘術師の為すべきことですね」
「左様です」
ハーミットは笑顔で答えた。
「まさにそれこそが」
「そうですね、実は僕は英語とイギリス文学を学ぶ為にです」
「イギリスに来られていますか」
「ですが日本を離れていまして」
「ホームシックですか」
「最初にお会いした時はそれになっていまして」
それでというのだ。
「あの様にです」
「気弱な感じでしたね」
「そうなっていました」
「左様でしたか」
「ですが」
それがというのだ。
「あの時ハーミットさんにお会いして」
「秘術のお話をされましたね」
「人を楽しませること、そして」
「努力ですか」
「そのことを言われましたね」
「はい、覚えています」
「ホームシックとは直接関係ないですが」
そうした話をしたがというのだ。
「それでも何か元気付けられて」
「誰かとお話するだけでも違いますね」
「実は英語に自信がなかったのですが」
自分のそれにというのだ。
「普通にやり取りも出来たので」
「はい、普通にわかります」
若者の英語はというのだ。
「流暢ですね」
「そのせいかやり取りも出来たので」
このこともあってというのだ。
「自信も出来てそこから励まされて」
「そうなってですか」
「ホームシックも克服出来ました」
「気の持ちよう一つで」
それでとだ、ハーミットはこうも話した。
「マイナスの感情はです」
「克服出来ますね」
「そうです」
「それもですね」
「そうです、秘術と言うなら」
ハーミットは微笑んで話した。
「そうなります」
「そうですか、ではこれからも」
「英語とですか」
「イギリス文学をです」
その両方をというのだ。
「学ばせてもらいます」
「はい、では私も秘術をです」
「されますね」
「そうします」
「では頑張って下さい」
「はい、貴方も」
二人で笑顔で話した、そしてだった。
若者はハーミットの前のお金を入れる箱に一ポンド紙幣を置いた、そして笑顔でお願いしますと言った、ハーミットはその彼に秘術を見せた。行う彼も見る青年も笑顔であった。
秘術師の救済 完
2023・1・14
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