ハッピークローバー
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第七十九話 夏の終わりでその二
「キス位はいってもいいから」
「そうなの」
「流石に結婚はお互い就職してからよ」
「孝行か大学出て」
「ええ、あんたも進学するつもりでしょ」
「一応は。それだけの成績だし」
かな恵は別に問題なしという口調で答えた。
「悪くないから」
「それで就職もよね」
「大学出てからの方がいい感じだし」
「それに八条学園商業科でも進学率高いわね」
「殆どエスカレーターで大学行けるし」
八条大学にだ、幼稚園からの一貫校だがそのことを置いておいても相当酷い成績でもないと普通に進学出来るのである。
「それじゃあね」
「じゃあ進学もね」
「して」
「それでよ」
そのうえでというのだ。
「就職してからよ」
「結婚はなの」
「あんたにしても鳴海君にしてもね」
「何か私達が結婚するって決め付けてない?」
「お互い知ってるならいいでしょ」
これが母の返事だった。
「別にね」
「幼馴染みで付き合っていて」
「そういうにもあるでしょ」
「学園の図書館の書士の人でもいるみたいね」
また自分の通っている学園のことを話した。
「奥さんとは幼馴染み同士で」
「結婚してなの」
「ずっと同じ八条学園で」
「ずっとお付き合いしててなのね」
「今はね」
「結婚して」
「東淀川か西淀川に住んでるらしいわ」
「あんた達も今の流れだとそうなる可能性が高いからよ」
「それでなの」
「そう、結婚もね」
これもというのだ。
「考えておきなさい」
「それで就職したら」
「二人共ね」
「そんなの考えられないわよ」
首を傾げさせてだ、かな恵は母に言葉を返した。
「とてもね」
「今はよね」
「学校と部活とアルバイトと遊ぶことで」
「一華ちゃん達とよね」
「結婚なんて。今色々あって」
「それでも少しはね」
ほんの少しはとだ、母は娘に返した。
「考えておくことよ」
「そうなの」
「将来のことの一つとしてね」
「結婚もなの」
「鳴海君とね」
「だから鳴海っちと結婚って」
「少なくとも今の時点では一番可能性が高いからね」
かな恵とそうなる可能性がというのだ。
「だからよ」
「そう言うのね」
「そうよ、それでね」
「今度なの」
「鳴海君とよ」
その彼と、というのだ。
「会って来なさい」
「付き合ってるなら」
「そうよ、携帯やメールのやり取りだけでなくてね」
「直接会って」
「それでお話したり」
「手をつないだりするの」
「そうしたらいいのよ、まあね」
ここで母は娘にやや達観した感じになって言った。
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