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食べられる雑草

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第一章

                食べられる雑草
 北朝鮮のは環境は極めて過酷である、それは亡命してきた兵士からもわかることだ。
「えっ、あいつ等そんなもん食ってるのか」
「そうらしいな」
 ある高校の中でだ、青柳融はクラスメイトの細木伸也に話した。青柳は色黒で細い目に面長で痩せた顔と身体を持っている。黒髪は短く背は一七〇位だ。
「その辺りの雑草も何でもな」
「食ってるのか」
「あそこ食うものもなくてな」
 星目で色白でやや口が尖り張横系の顔でスポーツ刈りの一六六位の背の細木に話した。
「それでな」
「その辺りの雑草まで食ってるのか」
「もう口に出来るものならな」
「何でもか」
「食ってな」
「餓えを凌いでか」
「生きてるんだよ」
 そうした状況だというのだ。
「それで将軍様だけな」
「太ってるんだな」
「美味いもの食い放題でな」
 それでというのだ。
「そうなってるんだよ」
「つくづく酷い国だな」
「それで食ってな」
 そうしてというのだ。
「何でも」
「雑草でもか」
「当然衛生状態悪くてな」
「寄生虫もか」
「一杯いるらしいな」
 身体の中にというのだ。
「そうらしいな」
「俺北朝鮮に生まれなくてよかったよ」
 しみじみとしてだ、細木は言った。
「あらためて思ったよ」
「他のことでもとんでもないしな」
「独裁国家で自由なくてな」
「ちょっとしたことで収容所送りだよ」
「独裁対象地域っていったな」
「そこに送られるしな」
「それで食いもないなんてな」 
 それで常に餓えに苦しめられてというのだ。
「地獄だろ」
「生まれる国ガチャだと最悪だな」
「絶対にそうだよな」
 二人でこんな話をした、だが。
 二人は所属している水泳部の合宿の余興でオリエンテーションをしている時に顧問の先生に言われた。
「食べられる茸と山菜と雑草のことも言うからな」
「えっ、雑草?」
「雑草も食べられるんですか」
「そうだよ、春だとツクシが食えてな」
 先生は自分の言葉に驚く青柳と細木に話した。
「ヨモギとかワラビもだよ」
「ああ、そういうのも雑草ですか」
「そうなりますか」
「他にも色々食べられるものがあるんだ」
 雑草と言われるものの中にもというのだ。
「だからな」
「これからですか」
「そういうのも教えてくれますか」
「そしてよく火を通してな」
 そのうえでというのだ。
「食えよ」
「わかりました」
「そうします」
 二人だけでなく他の部員達もだ。 
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