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イベリス

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第百話 夏の終わりその一

               第百話  夏の終わり
 盆が過ぎて暫くしてだった。
 暑さが和らいできた、咲はその中で起きて母に一緒に朝ご飯を食べつつ話した。
「涼しくなってきたわね」
「まだ残暑だけれどね」
 母は向かい合って座って食べている娘に応えた。
「けれどね」
「そうなってきたわよね」
「この頃になるとね」
「ピーク過ぎるわよね」
「これで強い雨が降ったらね」
 そうなればというのだ。
「もっとね」
「涼しくなるわよね」
「アスファルトも屋根も冷えてね」
「雨でね」
「特にアスファルトがね」
 街の道路のそれがというのだ。
「これまで夏の暑さと日差しで熱くなってたのがね」
「一気に冷やされて」
「そうなってよ」
「街全体が涼しくなるのよね」
「最近ゲリラ豪雨もあるから」
「余計によね」
「もうね」
 強い雨が降ればというのだ。
「それでよ」
「冷えるのよね」
「ええ、お母さん早く降って欲しいわ」
 母は娘に朝ご飯を食べつつ微笑んで話した。
「そうなれば涼しくなってね」
「過ごしやすくなるから」
「だからね」
 それでというのだ。
「早く降って欲しいわ」
「そうね、私もね」
 咲も言われて頷いた。
「夕立とかでね」
「雨降って欲しいわね」
「一気に降ってくれて」
 まさにゲリラ豪雨の様にだ。
「涼しくなって欲しいわ」
「そろそろお日様が出てる時間も短くなって」
「日差しも弱まるわね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「今か九月の頭にでもね」
「一気に強い雨が降ったら」
「そこからよ」
「過ごしやすくなるわね」
「そうなるわ」
「そうよね、夏は色々遊べて楽しいけれど」
 咲は朝ご飯のおかずのメザシを食べつつ応えた。
「暑いのはね」
「あんた苦手だからね」
「だからね」
 それでというのだ。
「出来るだけね」
「早いうちによね」
「涼しくなって欲しいわ」
 こう母に話した。
「本当にね」
「そうでしょ」
「ええ、それでね」
 そのうえでというのだ。
「快適に過ごしたいわ」
「それはお母さんもってことよ」
「親子でなのね」
「そうよ」
 真剣な返事だった。 
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