お嬢様学校の中で
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第一章
お嬢様学校の中で
とある中高一貫の名門学校に高校から入ってだった、佐古下牧子黒目がちの大きな目と白い肌にやや面長の顔とピンクのやや波がかった唇に黒髪をロングにした一五〇位の背の彼女は中学時代の友人に会った時にふと漏らした。
「わかっていたけれど凄いわ」
「あの学校今は共学だけれどね」
「元々名門女子校でね」
「お嬢様学校なのよね」
「どの人も清潔で上品で」
そうした風でというのだ。
「礼儀正しいのよ」
「躾も行き届いているのね」
「ええ、それなのに私ときたら」
牧子はどうにもならないという顔で言った。
「生まれも育ちもここでね」
「下町の娘ね」
「家はホルモン屋でね」
「じゃりン子よね」
「その私が偏差値が丁度よくて」
「それで受験したら合格して」
「本命の公立は落ちて」
そうなってというのだ。
「入学したけれど」
「全然カラーじゃないのね」
「もうね、お嬢様ばかりで」
周りはというのだ。
「私はね」
「かなり浮いてるのね」
「ええ、正直異世界に来た気分よ」
こうぼやくのだった、そうして。
牧子はその学校に通っていた、すると黒と白のスカートの丈が長い上品さが出た制服姿を見てだった。
近所の人達は目を瞠ってだ、こう言った。
「へえ、牧子ちゃんがあの学校にか」
「ホルモン屋の娘があのお嬢様学校にかい」
「これはまた驚いた」
「凄いな」
「牧子ちゃんもお嬢様か」
「これは凄いな」
こんなことを言うのだった、そして。
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