保護することもまた　

　　　　　　　　　　　　　　　　保護することもまた　
　国崎家の面々はこの日休日だったのでふわりをドッグレース場に連れて行って思いきり運動をさせて楽しませた。
「ふわり、気が済むまで走ってね」
「ワンワン！」
　ふわりは一家の主婦百合子の言葉を受けるとすぐに楽しく走りだした、一家でそんな彼女と一緒にいて目を細めさせたが。
　ドッグレース場にいる白い柴犬を見てだ、一家の息子洋介は言った。
「竹中さんのところのシロか」
「ああ、竹中さんも来てたんだな」
　一家の父である文太が応えた。
「ここに」
「そうなんだな」
「シロが竹中さんのところに来て二年か」
「もうそんなに経つんだな」
「ボランティアの人達から貰ってな」
「シロは保護犬だったな」
「前の飼い主さんが身体壊してな」
　文太は難しい顔で話した。
「それでな」
「飼えなくなってか」
「それでボランティア団体に預かってもらってだよ」
　そうしてというのだ。
「里親さんを探してな」
「竹中さんが引き取ってか」
「家族に迎えたんだよ」
「そうなんだな、ふわりはな」　
　洋介は父を見て言った。
「親父が迎えに行ったな」
「あいつ等が保健所に捨てたって聞いてな」
「すぐだったな」
「いてもたってもいられなくなってな」
　それでとだ、父も答えた。
「あの時はな」
「そうしたな」
「ああ、けれど犬を迎えるのはな」
「うちみたいに保健所で引き取る以外にもか」
「あいつ等みたいにペットショップとかブリーダーとか買ったりな」
「あとご近所から子犬貰うのもあるな」
「そこは色々でな」
　それでというのだ。
「保護犬を引き取る方法もあるんだ」
「そうなんだな」
「それで保健所から引き取ったりな」
「保護犬をそうするとか」
「命を救うことにもなるんだ」
「だからいいか」
「そうも考えられるな」
　こう息子に話した。
「それで一旦家族にしたら」
「あの人達みたいに捨てないことだな」
　ふわりの前の飼い主達のことを思い出してだ、洋介も言った。
「絶対に」
「飼育放棄なんてな」
「絶対に駄目だな」
「人間としてね」
　母もそれはと言った。
「何があってもね」
「したら駄目だよな」
「生きものにそうする人見てあんたはどう思う？」
「そんなの言うまでもないだろ」
　母に即座にだった、顔を顰めさせて答えた。