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ドリトル先生と山椒魚

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第十一幕その十二

「岩魚とかのお魚は東北にいるね」
「タキタロウだってそうだね」
「そうだよ、あのお魚もね」
 先生がこの前調査したこの謎のお魚もというのです。
「岩魚や鱒と言われているけれど」
「どちらも北のお魚だね」
「モリアオガエルもね」
 この生きものもというのです。
「東北にしかいないね」
「珍しい生きものだね」
「そうなんだ」
 これがというのです。
「東北にオオサンショウウオはいないけれど」
「そうした生きものがいるね」
「そうだよ、あとね」
「あと?」
「猿の北限とされるのもね」
「東北なんだ」
「そうだよ、あの地域でね」
 それでというのです。
「あそこから北にはね」
「いないんだ」
「そうなんだ」
「そのことも面白いんだね」
「生物学的にね」
 また飲んで言いました。
「青森の下北半島までなんだ」
「猿がいるのは」
「北海道にはいないんだ」
「エゾサルはだね」
「だからアイヌの人達のユーカリには猿は出ないんだ」
「あの人達の伝承だね」
「これがかなり沢山あるけれど」
 そのユーカリはというのです。
「それでもだよ」
「猿は出ないんだ」
「いないからね」
 北海道にはというのです。
「やっぱり基本見た生きものがだよ」
「伝承にも出るんだ」
「そうだよ、だから東日本にはオオサンショウウオのお話はないんだ」
「西にあるんだね」
「そこからそのお話がどの地域のものかもわかるよ」
「出ている生きものでだね」
「アフリカの南では狼のお話はないね」
 先生はこの例えも出しました。
「ライオンや虎や豹だね」
「それはね」
 王子はそのアフリカの国の王子として答えました。
「そうだね」
「本当にそこにいる生きものがだよ」
「伝承に出るね」
「北海道には猿のお話がないし」
 ユーカリにはというのです。
「本土にはライオンや豹のお話がないね」
「そうだね」
「ちなみに狼が悪役のお話も少ないね」
「そうそう、日本では殆どないね」
 王子もそれはと応えます。
「実際にね」
「これは狼に襲われた人が殆どいないからだよ」
「迷惑をかけられた人もだね」
「むしろ田畑を荒らす獣を食べてくれるいい生きものだったからね」
「獣害を防いでくれるね」
「だから日本ではだよ」
 ミミガーを食べて言いました、とてもコリコリした食感です。
「狼が悪役のお話はね」
「殆どないんだね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「これがね」
「いい生きものだからだね」
「悪役じゃないんだ」
「そういうことだね」
「そこが欧州とは違うんだ」
 まだというのです。
「日本はね」
「悪役は鬼だね」
「そうである場合が多くてね」
 それでというのです。
「狼はね」
「そもそも童話とかで出番少ないね」
「そして狐や狸は化かして」
「ばれて懲らしめられるね」
「そんな風でね」
 そうした役でというのです。
「まただよ」
「ないね」
「だからね」
 それでというのです。
「そのことも覚えておこうね」
「日本では狼は悪役じゃない」
「むしろ有り難い生きものだよ」
「獣害を防いでくれる」
「それぞれの国で生きものも違うんだ」
「それぞれの見方があるね」
「そうだよ、日本ではそうなんだよ」
 先生は沖縄料理を食べつつお話しました、そうしてです。
 泡盛も楽しみます、この夜も先生はそうして過ごしました。 
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