自然に帰すべきと
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第一章
自然に帰すべきと
ロシアのある村のことである。
この村で農業を営んでいるセルゲイ=ショコビッチ初老でがっしりとした体格の一八〇を超える慎重で額が広い黒髪のグレーの目が優しい彼はこの時銀色と黒のサビ模様の三匹の子猫達を見付けた、それですぐに妻のタチヤーナ一六〇位の背で丸い穏やかな顔立ちでブロンドを伸ばした青い目のふくよかな体格の彼女に言った。
「子猫三匹見付けたけどな」
「それならね」
子猫と聞いてだ、猫好きの妻は言った。
「うち今三匹位ならね」
「大丈夫だな」
「いるだけで鼠除けになるから」
だからだというのだ。
「是非ね」
「飼うか」
「そうしましょう」
「そう言ってくれるか」
「ええ、じゃあその子達連れて来て」
「それじゃあな」
妻の返事に笑顔になってだった。
セルゲイは子猫達を家に入れた、二匹は雄で一匹は雌だった。雄はイワノフとアレクサンドル、雌はエリザベータと名付けてだった。
育てはじめたが妻はその猫達を見て首を傾げさせた。
「何かおかしくないかしら」
「ああ、猫にしては目と目の間が広いな」
夫も気付いた。
「そういえば」
「それで耳もね」
「スコティッシュフォールドよりもな」
「耳が垂れてる感じもするし」
「今度獣医さんに診せるしな」
「どんな猫かも聞いてみましょう」
「そうしような」
夫婦でこんな話をしてだった。
実際に獣医に診てもらった、三匹共健康に問題はなかった、だが。
「この子達猫じゃないですよ」
「そうなのか」
「ヌマルネコですよ」
この種類の猫だというのだ。
「野生の」
「あの時々外で見るか」
「はい、あの猫です」
獣医はまさにという声で答えた。
「そうです」
「そうなんだな」
「あの、ちょっと」
真剣にだ、獣医はセルゲイに話した。
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