ハッピークローバー
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第七十八話 ホテルのカレーその三
「最近ずっと出番ないけれど」
「奥さんと一緒に」
「その奥さんも男の人だけれど」
だが二人の間には子供もいる、生物学のことを超えて。
「出番なくなったけれど」
「どういう訳か」
「けれどね」
それでもというのだった。
「お話をお酒に戻すと」
「それならですね」
「イギリスだからよくて」
朝からワイン一本空けて出勤してもというのだ。
「日本ではね」
「駄目ですからね」
「そのことを言うことが」
それがというのだ、
「あるのよ」
「そうですか」
「あっちじゃ軍隊の会議でもね」
この時もというのだ。
「偉い人達、将軍さん達のだと」
「お酒飲みます?」
理虹はやや首を傾げさせて店長に尋ねた。
「会議の時も」
「そうよ、ドイツ軍とかでもね」
「お酒飲みながらですか」
「もう一人ずつの前にボトルとグラスがあって」
「ワインですか」
「そう、それがあってね」
そうしてというのだ。
「ワイン飲んで煙草も吸って」
「禁煙もなくて」
「会議してたのよ」
「そうだったんですね」
「本当に普通にね」
そう言っていい位にというのだ。
「喉を潤す為と気分転換、多少飲んだら頭も回るし」
「軍隊の会議でもですか」
「お酒飲んでいたのよ」
「朝からやっても」
「それでもね」
「あっちはそうなんですね」
「ちなみにその中でね」
将軍達の軍事会議の中でというのだ。
「ヒトラーはお酒も煙草も口にしなかったのよ」
「あっ、あの人お酒も煙草もそうで」
理虹はヒトラーの話を聞いてすぐに言った。
「菜食主義で」
「ソーセージ位は食べたらしいけれどね」
「けれど基本そうで」
「それで会議の時もね」
「皆飲酒して喫煙している中で」
「というか自分の目の前で煙草吸わせなかったし」
総統官邸は全館禁煙だったという。
「当時はかなりね」
「昔は男の人かなり煙草吸ってましたね」
「CMにもなってたしね」
昭和まではそうであった。
「それでよ」
「多くの人が吸ってた中で」
「ヒトラーは吸ってなくて」
それでというのだ。
「お酒もね」
「飲まなかったんですね」
「確かにとんでもない人だったけれど」
独裁者として悪名高い人物だったことは事実である。
「私生活は真面目で」
「あちらの人手もお酒は飲まない」
「紅茶が好きだったのよ」
「じゃあホテルマンとしては」
日本のとだ、理虹は言った。
「問題なしですね」
「そう言えるわね」
「そうですか」
「何か仕事ぶりも」
留奈は自分が知っているヒトラー像から話した。
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