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未来から来た人なのか

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第二章

「どうにも」
「何でこんなの描かれてるのかな」
「わからないね」
 二人で浮世絵を観て話した、そして後日。
 小池は泉田にスマホにある画像を紹介して話した。
「この画像一九二〇年代らしいけれど」
「だから白黒だね」
「そうなのに」
 それでもというのだ。
「おかしいんだ」
「どうおかしいのかな」
「ほら、ここ」
 画像のある場所を指差して言った。
「ここにサングラスとティーシャツの人いるね」
「あっ、そうだね」 
 泉田も指差した先の男の人を見て気付いた。
「この人って」
「現代の服装だね」
「けれど周りはね」
「当時の服だね」
「この人だけがね」
 まさにというのだ。
「不自然にね」
「いるね」
「そうだね」
「他にもね」
 二十世紀前半の画像、モノクロのそれを見てもだった。
「この画像にもいるね」
「ああ、携帯使ってるね」
「この時代に携帯?」
「ないよね」
「服装も現代のだし」
「ナチュラルに使ってるけれど」
 その携帯をというのだ。
「違和感あるね」
「モブと言っていい中にこうした人いると」
「妙だよ」
「周りの人も皆気付いていないしね」
「ひょっとしたら」
 泉田は小池に考える顔で言った。
「偽造かもね」
「ああ、今の人を昔の写真に入れた」
「フェイクの可能性もあるかもね」
「浮世絵だってね」
「その可能性はあるね」
「偽造しようと思えば幾らでも出来るし」
「その可能性はあるね」 
 こうも話した。
「やっぱり」
「そうした可能性もあるけれど」
「検証して違ったら」
「かなりね」
「問題だよ」
「未来から来た人がいるのかな」
 小池はかなり真剣に考えて泉田に言った。
「そうなのかな」
「ああ、タイムスリップとかで」
「創作でよくあるお話でね」
「その可能性あるのかな」
「浮世絵は逆に絵師の人が未来に行って描いたとか」
「そうかも知れないんだね」
「そうかな、兎に角こうしたものを見ると」
 小池はさらに考える顔になって話した。
「不思議で不気味なものを感じるだね」
「そうだね、世の中よく見たらこうした話が多いよ」 
 泉田もそうした顔になって応えた、そしてだった。
 二人でそうした写真や絵を見ていった、そのうえでこの世には不思議な話が多いことを実感した。そしてタイムスリップを否定することをしなくなった、二人共以前からそうだったが前にも増してそうなった。


未来から来た人なのか   完


                   2023・5・20 
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