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熊の家族が来て

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第一章

                熊の家族が来て
 アメリカコネチカット州エイヴォンで村の外れというよりは森の中に家をもうけそこで樵をして暮らしているボブ=ベルフィオーレ大柄でプロレスラーの様な体格をした黒く短い髪の毛と目を持つ長方形の顔の彼は家の前の道路の向こうのサリー=ドットソン今は夫が怪我をして入院していて一人暮らしをしている彼女の家から悲鳴があがったのを見て家の庭で薪割を中断してそのうえで彼女の家に向かってだった。
 家の玄関で事情を聞くと夫人からこう言われた。
「すぐに開けるわ!」
「何だよ、随分焦ってるな」
「焦ってないわよ」
「いや、焦ってるだろ婆さん」
「いいから早く入れるわ!」
 夫人はこう言って早速玄関の扉を開けた、白髪に青い目に眼鏡の白人の女性だ。背はベルフィオーレより四十センチは小さい。
 彼女は彼を部屋に入れるとこう言った。
「そっちに行かなくてよかったわ」
「そっち?玄関にかい」
「ええ、今大変なのよ」
「大変ってジャージーデビルでも出たのかよ」
「あれはニュージャージー州でしょ、熊よ」
「熊か」
「そうよ、あれよ」
 キッチンのある部屋の方を指差してだった。
 彼をそこに連れて行くと何と窓の方に。
「ガウガウ」
「げっ、熊か」
 見ればそこには黒い毛のアメリカクロクマがいた、窓の前に立ってそこでしきりに窓を叩いている。
「森から出て来たか」
「丁度ブラウニーを焼いていたらね」
「ああ、その匂いにつられてか」
「来たみたいなの」
「そりゃまずいな、まあアメリカクロクマは大人しいからな」
「そうなの」
「殆ど人を襲わないんだ、だから警察に通報してな」
 ベルフィオーレは早速自分の携帯を出して言った。
「それでな」
「追い払ってもらうの」
「そうしよう」
 こう言ってだった。
 彼はすぐに警察を呼んで追い払ってもらった、これでだった。
 夫人はほっとすることが出来た、後日ベルフィオーレはその彼女に話した。
「あの熊は保護、それに研究の為にな」
「どうなったの?」
「首にナンバープレートがかけられてGPSが付いてな」
 そうなってというのだ。
「ちゃんと何処にいるかわかる様になったそうだ」
「そうなの」
「まあびっくりする事態だったけれどな」
 それでもというのだった。
「ああした時もな」
「警察を呼んでなのね」
「対処出来るからな」
 それでというのだ。
「安心出来るからな」
「そうなのね、じゃあ旦那が帰ってきたらね」
「このこと話すんだな」
「それで注意する様に言うわ」
 こうした時は警察を呼ぶとだ、夫人も答えた。そして実際に夫が退院するとこのことを話したのだった。 
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