DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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大空の旅
<レイアムランド>
「さて…それではお空の旅へと参りましょうか!」
リュカの言葉を聞き、少女ラーミアが杖を振って変化を解く…
目の前には再度大きな白い鳥が現れ、リュカ達が背に乗るのを待っている。
リュカはレディーファーストと言うかの様に、アルルやビアンカを先に乗せる…そんなリュカの行動に、ラーミアが嫌そうな顔をするのがよく分かる。
他のメンバーもラーミアに乗り、最後にリュカが乗ろうとした時、何かを思い付き双子へと話しかけた。
「そう言えば、マナ・カナは今後どうするの?」
「「マナ・カナではありません!私達はスフェルとスフェアです!」」
「あ…うん、どっちがどっちだか分からないけど……ともかくどうすんの?此処に残って、処女を守り通すの?」
「何でそう言う聞き方しか出来ないんだ!?」
これは疲れ切ったティミーの突っ込み。
「「………分かりません。私達は、ラーミアの卵を守る事を使命として生きてきました…その使命から解放されて、どうすれば良いのか………」」
2人揃って俯くスフェルとスフェア…
目がかすれて、二重に見えているのでは?と、思わず目を擦るアルル達。
「じゃぁさ…新しく出来た町を紹介するから、そこで暮らしてみない?」
リュカはどうやら、エコナバーグへの移住を勧めるつもりの様だ。
「「しかし…私達は、今までこの地で暮らしてきました…都会で暮らす知恵など持ち合わせておりません…そこで暮らす方々に、ご迷惑をお掛けする事になるかも………」」
「あはははは、大丈夫だよ!出来たての町だから、どっちを向いても余所者だらけ♡ 奇抜な双子が現れても、誰も気にしないと思うよ。それに町長は、僕にとって大事な人なんだ…サポートしてあげてよ。出来る事だけで良いからさ」
女性をベッドへ誘う時と、寸分違わぬ笑顔で手を差し伸べるリュカ。
双子の美少女は、顔を赤らめリュカから目を逸らす事が出来ず、促されるまま彼の手を取る。
リュカは手慣れた手付きで双子をラーミアに乗せる…
「よし、行こう!」
そして自らも乗り、ラーミアへ合図を出す!
するとラーミアは羽ばたきだし、瞬く間に空高く舞い上がり、先程まで居たレイアムランドの祠は遙か眼下に小さく見える。
天高く舞う空の旅に、リュカのテンションもアゲアゲで、気持ちよさそうに歌い出した。
曲目は『浪漫飛行』
気付けば歌に酔いしれており、立ち上がって歌い出すリュカ。
高速で飛ぶラーミアの上で立ち上がり、迫り来る風圧に晒されれば、考えるまでもなく飛ばされ落下する………
リュカとて例外ではない。
「リュカさん!」
アルルは慌てて叫んだが、
「大丈夫だよ…ルーラを使って、一足先にエコナバーグへ向かうから…」
と、息子さんの冷静な答えに安堵した。
しかし、ホッとしたのも束の間、リュカ落下に気付いたラーミアが、リュカを救うべく急旋回&急降下!
普通に乗ってるだけでも風圧に負けそうなのに、予告無しの急旋回&急降下には、皆が泣きながら悲鳴を発す!
巧みな飛行 (搭乗者への配慮は皆無)でリュカをナイスキャッチしたラーミア。
ラーミアの背中に舞い戻ったリュカは、過度の恐怖で泣きじゃくっている皆を見て笑いながら嘯いた。
「あははは、絶叫マシンは堪能出来た?」
「ふざけんなクソ親父!テメーぶっ殺すぞコノヤロー!」
両目から大粒の涙を溢れさせて、取り繕う事も出来ずにマリーはリュカに罵声を浴びせる。
恐怖は人の本性を露わにする…
<エコナバーグ>
レイアムランドからラーミアに乗って3時間。
リュカは先程の件を悪びれることなく、エコナの元へと軽やかに向かう。
ビアンカとハツキ以外から、『殺してやる』オーラが醸し出ても、全然気にしてはいない様子だ!
「エコナー!また来たよー!!」
100%仕事中な事が判っていても、構うことなくオフィスへ乗り込むリュカ…
「リュ、リュカはん…出立してから10日しか経ってないんに、もう戻って来たんか?」
流石のエコナも迷惑そうだ。
しかしリュカは全く気にせず、エコナを抱き寄せ耳元で囁く様に話し出す。
「あのね…エコナにお願いがあって来たの」
「な、何?お願いって…?」
エコナは既にトリップ状態…
リュカという麻薬は質が悪いのだ!
「あの双子を雇ってほしいんだ!」
部屋の入口付近で緊張気味に佇むスフェルとスフェアを指さし、エコナの首筋にキスをしながらお願いするリュカ。
「あ…べ、別に構へんけど…あの二人は…ん…何が…出来るんや…?」
エコナは、鼻から抜ける甘い声を出しながら、双子のプロフィールを確認する。
「さぁ…何が出来るのかは知らないなぁ…でも、真面目で良い子達みたいだから、僕の子のベビーシッターになってもらおうかと思ってね!」
リュカはエコナの腹部を触りながら、子供が居る事を皆に告げる。
「え!?マジかリュカはん!ウチ妊娠したんか!?」
トリップ状態から一気に覚めるエコナ。
他の皆も呆然としている。
「うん…命の暖かみを感じるよ」
「ホンマか!?ホンマなんやね?……ウチ…嬉しいわぁ…」
エコナはリュカの手の上から腹部を触り、涙ぐみながら幸せを感じている。
「と言うわけで、あの双子の事をお願いしたいんだ…長い時間、人里離れた僻地で暮らしていたから、些か常識外れな事もあるかもしれないけど、僕の相手をするよりは楽だと思うからよろしくね」
「何だ、自覚はしていたのですね父さん」
息子の侮辱にサムズアップで返すリュカ。
そして、やっと落ち着いて話をする事が出来るのだ…
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