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X ーthe another storyー

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第十七話 禁句その一

                第十七話  禁句
 庚の後ろにある剣を見てだ、哪吒は彼女に問うた。
「僕が持って来た剣ですが」
「ええ、私達に必要なものの一つよ」 
 庚は哪吒に微笑んで答えた。
「私達が勝利を収める為にね」
「だから僕に取って来る様に言われて」
「そして持って来てもらったのよ」
「あの神社からですね」
「そうよ、ただね」 
 庚はさらに話した。
「この剣は普段はね」
「使わないんですか」
「ええ、地の龍の最後の一人の」
「その人にですね」
「神威に渡してね」
 この時庚は二人を思いつつ話した。
「そうしてよ」
「そのうえで、ですか」
「最後の戦いで使ってもらうから」
 そうしたものだからだというのだ。
「今はね」
「使わないんですね」
「そう、貴方達他の六人もね」
 地の龍であるというのだ。
「使えないわ、あくまでこの剣は神威のものよ」
「地の龍の神威の」
「貴方に持って来てもらったけれど」 
 それでもというのだ。
「貴方にはね」
「使えないですね」
「持てて振ることは出来るわ」
 他の地の龍の者達、六人もというのだ。
「それはでね、けれどね」
「それでもですか」
「力を万全に引き出すことは出来ないわ」
「剣にあるですか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「そのことは覚えておいてね」
「わかりました、その剣はですね」
「神威のものよ」
 あくまでというのだ。
「そうしたものであって」
「僕達の戦いの最後で」
「神威同士が戦って」
「その勝敗を決する」
「世界の未来をね」
 まさにそれをというのだ。
「決めるものよ」
「それがその剣なんですね」
「ええ、その時まで私が守るから」
「だからですか」
「安心してね、私は何があっても守るから」
 剣をとだ、庚は哪吒に話した。
「貴方達は貴方達の務めを果たしてね」
「そうさせてもらいます」
「そしてね」
「そして?」
「私は地の龍の誰にも死んで欲しくないから」
 ここでもだ、庚は地の龍の者達の命のことを話した。
「戦ってもよ」
「僕達は死なない」
「そのことを心に留めておいてね」
「そうして戦うことですね」
「ええ、それで救われた世界を見ましょう」
 庚は本心を隠しはしたが嘘は言わなかった、密かに姉のことを思いそのうえで哪吒に対して語ったのだった。
 庚と哪吒がそうした話をしていた頃だった、丁は空汰達に話していた。
「近いうちに剣と最後の天の龍がわかります」
「両方でっか」
「はい、まずは剣がです」 
 こちらのことがというのだ。
「動きます」
「そうなりまっか」
「そしてです」
 そのうえでとだ、庚は空汰に答えた。彼の隣には嵐がいて自分の傍には玳透が控えて静かに立っている。 
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