神々の塔
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第十六話 ローマの中でその九
「まさに下種と言ってな」
「相応しい人等やね」
「その人を裏切る姿をな」
「皆見たし」
「それで知ってるからな」
それ故にというのだ。
「皆嫌ってるわ」
「陸上部でもね」
「皆相手にせんな」
「無視されてるね」
「自分の都合で平気で人裏切る奴誰が信用するねん」
中里は嫌悪に満ちた声で言い切った。
「そんな奴誰かてな」
「平気で裏切るね」
「自分が都合が悪くなったら」
「昨日まで友達と言っていたのにそれやと」
「ほんまな」
「信用出来へんね」
「自己中やしな」
自分しか考えていない、だから自分の都合が悪くなったら裏切って切り捨てる。そういうことである。
「その直後に相手を冷たい目で見る」
「あの連中はわしも知ってるわ」
メルヴィルも忌々し気に言ってきた。
「話を聞いてこいつ等がかってな」
「思ったんやね」
「ああ、自分等が告白する様に言うて」
「相手の告白が失敗して」
「女の子の友達が変に騒いで」
「騒ぐことかって思うけど」
綾乃はこのことにも首を傾げさせた。
「告白されてもタイプやないんやと」
「お断りで終わりやな」
「そこで騒ぐ?」
「そんな騒ぐ様なしょうもない女の子でな」
「周りの娘達もやね」
「しょうもない奴にはな」
まさにとだ、メルヴィルは忌々し気な顔のまま語った。
「しょうもない奴がや」
「お友達になるんってことやね」
「類は友を呼ぶでな」
その言葉通りにというのだ。
「そうしたな」
「騒ぐ人等で」
「それでな」
「その騒ぎが自分達にまで及ぶ」
「そうなって即座にな」
まさに次の日にというのだ。
「裏切る」
「そんな人等やて」
「わしも思いつつな」
「見たんやね」
「自分でわかったわ」
こうもだ、メルヴィルは言った。
「連中を冷たい目で見てるってな」
「そのことをやね」
「ああ、もう自然とな」
「そうした目で見たんやね」
「そやった」
こう話した。
「ほんま自覚したわ」
「自分がそうした目で相手を見たってことを」
「自分の目が冷たいことを自覚したなんてはじめてやった」
「うちもあの人等見たことあるけど」
「綾乃ちゃんもかいな」
「そういう目で見てたかも知れんわ」
自分で言った。
「気付いてへんうちに」
「こいつ等がってな」
「あの人等がしたこと有名やし」
「学校の誰もが知ってるわ」
「そうやさかい」
それ故にというのだ。
「うちもそうかも知れんわ」
「まあ絶対に尊敬は出来ん」
トウェインも言い切った。
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