イベリス
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第九十七話 東京のお盆その十
「お酒は色々あるし」
「咲ちゃんのお家もよね」
「主にお父さんが飲むから」
母も飲むがだ。
「ウイスキーもワインもストロングもあるし」
「ストロングあるの」
「というかサワーで」
そちらの酒でというのだ。
「アルコール度九パーセントのね」
「あっちね」
「それがあるから」
「何でも飲めるわね」
「ええ、肝心のお酒はね」
これはというのだ。
「特にね」
「困らないわね」
「そうね」
これといってというのだ。
「何でもあるわ」
「じゃあね」
「ええ、飲むわ」
「そうしてね」
愛も笑って応えた。
「今夜は」
「そうするわね、じゃあ帰ったら」
「そうしましょう」
「お互いにね」
こうした話をしてだった。
咲は両親と共に家に帰った、そして夜は父からウイスキーのボトルを一本貰ってそれをロックで飲むことにしたが。
一口飲んでだ、こんなことを言った。
「美味しいわ」
「強くないか?」
「この強さがね」
父にこう答えた。
「いいわ」
「アルコール度強くてもか」
「飲めるわ」
そうだというのだ。
「前から飲んでたしね」
「そうだったか?」
「いや、飲んでたでしょ」
実際にとだ、咲は父に飲みつつ答えた。
「ウイスキーも」
「そうだったか」
「ストレートでなくロックでね」
「ああ、ストレートは無理だな」
「この前少し飲んだけれど」
ウイスキーをストレートでというのだ。
「一口で止めたわ」
「合わなかったか」
「無理だったから」
飲めなかったというのだ。
「だからね」
「ロックにしてか」
「そうして飲んだわ、けれどロックなら」
父に飲みつつ話した。
「大丈夫よ」
「そうなんだな」
「何でもロシアだと」
咲はここでこの国の名前を出して話をした。
「学校にロシアから来た子もいるけれど」
「あそこはウォッカだな」
「ウォッカをストレートで飲むのがね」
この国ではというのだ。
「多いらしいわね」
「あそこはそうしたお国柄でしょ」
母がリビングでテレビを観つつ言ってきた。
「お酒をどんどん飲む国で」
「ストレートでもなのね」
「飲むわよ、寒いからね」
「それが大きいのね」
「飲んであったまらないと」
アルコールでというのだ。
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