星河の覇皇
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第八十三部第五章 謎の兵器の正体その二十五
「テロがあるか犯罪者が海賊となるか」
「それ位ですね」
「それで済んでいますね」
「戦争はかつてはエウロパ戦役が行われましたが」
「外への戦争でした」
「スパイの問題に対する」
「それだけ連合は戦争と無縁だということです」
八条は看破する声であった、その声で言ったのだ。
「有り難いことに、ですから若しアッディーン大統領が退屈に感じられても」
「それでもですね」
「退屈でいてもらうことになる」
「そうなりますね」
「そうです、確かに中の対立は絶えないです」
連合の持病と言われるこのことは八条も否定しなかった。
「中央政府と各国政府、そして各国政府間に」
「各国政府の中でもですね」
「権益や利権の対立があり」
「意見の衝突もあります」
「まさに万民の万民に対する闘争ですね」
ホッブスのリバイアサンの言葉がここでも出た・
「そうした状況ですね」
「連合にまとまりはありません」
「各国政府の権限も強く」
「対立は絶えないですね」
「ですが」
それでもとだ、八条は述べた。
「戦争がないことは事実です」
「紛れもなく」
「そのことは、ですね」
「否定出来ないですね」
「それがないことは」
「戦争がないイコール平和という意見があり」
八条は今度は哲学、政治的なそれを感じさせる言葉を出した。
「若しくは対立が続くならです」
「平和ではない」
「そうした意見もありますね」
「では平和とは何か」
「そうした考えにもなりますが」
「その辺りはまことに難しいです」
どう解釈すべきかというのだ。
「その辺りは」
「左様ですね」
「どうにも」
「まさに平和とは何か」
「難しい話ですね」
「ですがおおむね戦争や紛争がないと」
今の連合の様にというのだ。
「そう言っていいでしょう」
「平和だと」
「その様にですね」
「言っていいですね」
「治安もです」
こちらもというのだ。
「確かに中央政府軍創設まで海賊やテロリストが悩みの種でした」
「そうでしたね」
「何かと」
「彼等には手を焼いていました」
「ですがその彼等も」
どうだったかというと。
「辺境部で多く」
「それ以外ではですね」
「これといってですね」
「多くなかったですね」
「問題であっても」
「そうでしたし。星の中では」
尚連合の星系は防衛用の人工衛星やバリアーで守られる様になっている、言うならば中世の城塞都市の様なものだ。
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